時代は確実に変わった。
その昔、女ソープ、男佐川、という言葉があった。手っ取り早くカネを稼げる代名詞がそれだった。佐川が大変なのは配達する時も常に駆け足だった。歩くことは許されなかった。カネは稼げるが過酷でもあるということだ。
宅配便業界で労働力不足が表面化したのはヤマト運輸からだった。慢性的人手不足の所に、ネット通販の急成長が追い打ちをかけた。仕事ばかり増えても、アマゾンなど大口顧客との契約料金が安いため賃金も上がらず、ドライバーは残業代もなしに酷使されていた。
佐川の週休3日制のテスト導入は、おカネよりも休みを大事にする今の若者気質に合わせたものと思われる。
小池百合子が「都民ファースト」を掲げて都知事選に圧勝。アメリカのトランプも「アメリカファースト」を合言葉に大統領選に勝った。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングが6月9日、公表した新入社員の意識調査で、会社に望むのは給料が増えることより、休日が増えるこということが明らかになった。2004年から調査を開始しているが、給料と休みが逆転したのは今回が初めて。
この結果から「自分ファースト」、「余暇ファースト」なる言葉まで生まれている。入社1年目の新入社員でも初年度から有給休暇をバンバン取り、海外旅行などへ出かける。
上司が新入社員のうちから有給休暇を取ることに難色を示すと、「入社する時に『休みはしっかり取れる会社』と言った。休みたいときに休めないのなら辞めます」と反論する始末。
電通社員の過労死問題に端を発し、どうせ、給料が上がらないのなら、休みを優先する「余暇ファースト」志向がこれからの流れにもなっていくのだろう。
サービス産業は土日祝日が休めない、というハンディキャップがある。その中でもパチンコホールは週休2日もままならず、年間の休日も少ない業種であることを考えると、ますます求人難に陥ることが考えられる。
今後の正社員採用対策として、採用支援をするアベブの太田氏は次の3点を挙げる。
①年間休日の増加 (サービス業の年間休日=年48日~96日/サービス業を除く職種の年間休日=年100日~135日)
⇒求職者目線では、最低100日以上を念頭に職探しをする方の割合が高い傾向にある。
②コンプライアンスの徹底 (アルバイトの社会保険/深夜割増/残業なし/有給休暇の取得率/定着率/他福利厚生)
⇒求人原稿に上記の表記がない場合⇒ブラック企業と勘ぐられ、応募を敬遠される可能性が高くなる。
③新しい働き方 (週休3日/短時間/シフト自由/転勤なし/地域限定社員/在宅ワーク/働き方を選択できる)
⇒決められた固定の給与と休日のみではなく、求職者が選択できる働き方を提供している企業に応募が上がっている傾向にある。
逆に言えば、この3点が遵守できていないと人手不足倒産に陥ることだって考えられる。

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