2000年に大型店の出店を規制する大店法が廃止されたことで、大型店の出店は事実上自由化された。これを機に、郊外への出店は加速し、大型家電量販店やショッピングセンターが相次いで誕生。客を奪われた商店街は、借り手のつかないテナントが並ぶ「シャッター通り」が全国に出現した。
出店自由化で、オーバーストア状態になった地域も登場する。採算の取れなくなったスーパーが撤退し、近くに商店街もスーパーもない“買い物難民”も生まれるなど、消費者にしわ寄せがきている。
特に大型化した総合スーパーの業績が芳しくない。あのイオンやセブンアンドアイホールディングスも総合スーパーが業績の足を引っ張っている。
総合スーパーはこれまで、本部主導の画一的な商品を全国均一価格で販売するビジネスモデルで成長してきた。大量仕入れによる安さで消費者の支持も集めてきたが、今はネット通販の方がさらに安く、品物は自宅に届く。総合スーパーが提供してきた「全国一律低価格」の価格訴求力も神通力を失っている。
パチンコ業界も競争の自由化で台数規制を始めとする各種自主規制が撤廃されたことで、店舗の大型化が進み、200~300台クラスの小型店が淘汰された。生き残ったホール企業は現在、老朽化した建物の建て替えをしなければならいところに来ているが、「元を取る自信がない」と二の足を踏んでいるところが多い。
「業界トップ10社で市場の30~35%を占めるようになった時、スーパーは差別化のために、プライベートブランドを出したが、ホールにはそれができない。それとパチンコ業界は規制で変わるので、市場予測が難しい。スロットの若者分析をしているが、5年以上の経験者は新基準機になって使う金額と来店頻度が落ちている。一発逆転がないと夢がない」(同)
AT、ART機は長時間かけてダラダラ出る機械特性だったために、1日中打たないと勝てない仕様となった。これがサラリーマン客を阻害してきた要因である。幸い、サブ基板で制御できなくなったAT、ART機は事実上作れない。これからはサラリーマンが会社帰りに一勝負できるスロットの開発も求められる。
いずれにしても射幸性が抑えられることで、現在残っている射幸性を求める客層はカジノへ流れるかも知れない。過激な射幸性を求める客層を総替えした後から、初めてパチンコ業界の未来図が見えてくる。昔は5000円勝っても喜んだものだが、今の客は5000円程度では投資額が万単位なので満足しない。要はそんなレベルの客を開拓しなければならない。
で、シンクタンクの関係者の結論はこうだ。
「1円でも経営できる体質改善を図らなければならない」
パチンコ業界で大型店を維持するには4パチ、20スロを活性化させることが肝になる。スーパーの食品売り場が1パチとすれば、それ以外の衣料、雑貨などが4パチコーナーとなる。
今のところ、総合スーパーで業績が復活した成功事例はない。

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