パチンコ日報

ニュースにならないニュースの宝庫 

佃煮一瓶の波紋

あるホールで景品として瓶入りの佃煮を取り扱っていた。種類は椎茸とタラコの2種類で、2個1セット100玉で交換できるようになっていた。この景品は、地元の特産品を取り扱うことで、地域貢献の意味合いもあった。

ある日、一人の常連客が景品カウンターにやってきて、こう言った。

「この佃煮、椎茸の方だけ欲しいんだけど、バラで交換できない?」

しかし、ホールのルールでは2個セットになっているものは、バラして交換することはできないと決まっていた。カウンターのスタッフはその旨を説明し、丁重に断った。客は「そうか、分かった」と引き下がるように見えた。

ところがその後、客は再びカウンターにやってきた。手には包装を破った佃煮の瓶が1つだけ握られていた。

「これで交換してくれないか?  1個だけでいいから、100玉で」

通常なら、このような要求は断るのが普通だ。しかし、客が既に包装を破いてしまっていたため、ややこしい状況になっていた。結局、スタッフは店長に相談し、店長の判断で特例的に交換を認めることになった。

残ったタラコの佃煮は、捨てるのももったいないということで、社員食堂に置かれ、スタッフたちで分けて食べることになった。店長も、これくらいなら問題にはならないだろうと考えていた。

しかし、この判断が思わぬ波紋を呼ぶことになる。

数日後、店長はオーナーから呼び出され、突然降格処分を言い渡された。

「お客様から受け取った景品を勝手に処分するとは何事だ!」

この言葉に店長は驚いた。たかが佃煮一瓶で、降格処分はあまりにも厳しすぎる。長年働いてきた店長のキャリアを考えれば、口頭注意や軽い処分で済ませるのが普通だ。しかし、オーナーは厳しい口調で言い放った。

「ルールを守れない者に、店を任せるわけにはいかない」

店長は理不尽な処分に納得がいかなかったが、従うしかなかった。

だが、この降格にはもっと深い理由があった。

実は、この店長は「デキる店長」として知られ、業績をそれなりに上げていた。しかし、その裏では機械納入業者と結託し、店に対する請求を水増しし、その差額を業者から受け取るという不正を行っていたのだ。これは明らかに業務上横領に当たる行為であり、証拠が揃えば懲戒免職にできるレベルの不祥事だった。

にもかかわらず、オーナーはすぐに解雇することはしなかった。なぜなら、この店長は売上を伸ばせる貴重な人材だったからだ。完全に切り捨てるのではなく、降格という形で処分を下すことで、店長を監視下に置き、最終的なタイミングを見計らおうとしていたのだ。

佃煮の件は、あくまで降格処分の口実に過ぎなかった。実際には、オーナーは店長の不正を把握していたのだ。

結局のところ、佃煮一瓶の問題は、店長の横領問題の引き金に過ぎなかった。しかし、店の運営において、小さな問題が大きな波紋を呼ぶことは珍しくない。ルールを破ることのリスク、そして上層部の判断が単なる感情的なものではなく、裏に戦略が隠されている可能性があることを、この出来事は物語っている。

一見些細な出来事が、実は長年にわたる不正をあぶり出すきっかけになった。店長の座を守るためには、業績だけでなく、クリーンな運営も求められるのだ。



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幻の「韓国パチンコ市場」。在日産業の夢と挫折

パチンコの国内市場が年々縮小する中、メーカーが海外市場へと目を向けるのは自然な流れだった。そのなかで最も親和性が高いとされたのが、地理的にも文化的にも近い韓国市場だ。

「在日産業」と呼ばれたパチンコ業界にとって、同胞の地・韓国はまさに第二のフロンティアだった。メーカーは歴代の親日派大統領へ水面下でアプローチし、市場開放を探っていたという。だが、その夢は現実の壁に阻まれ、幻に終わった。

実は1990年代半ば、韓国・プサンやソウルにはすでに“日本式パチンコ店”が存在していた。日本の業者が設備から補給まで一式を請け負い、そっくりそのまま日本型ホールを作っていた。

営業許可上は「成人娯楽室」、つまりゲームセンター扱いだった。ソウルの店では上皿にカバーを付け、直接玉を触れない工夫をしていた(日本でもゲームセンターのパチンコ機は玉を触れない理屈)。

プサンではカバーを外し、堂々と出玉を店内換金していた。もちろん違法だが、それでも人気を博した。

当時は韓国パチンコの黎明期だった。韓国では、“地下スロット”が庶民のギャンブルとして定着していた。そこに表の世界でパチンコを普及させようとしたものの、裏社会との縄張り争いに敗れ、パチンコは姿を消すことになった。

その後、2005年になると“第2次パチンコブーム”が韓国に訪れる。きっかけは「メダルチギ」と呼ばれる改造パチンコ機だった。釘をすべて抜き、玉ではなくメダルを使用。メダルを投入すればほぼ確実にスタートチャッカーに入るという、スロットマシンに近い仕様だった。

そして2006年、社会問題となったのが「パダ・イヤギ」──法定上限の200倍を超える2万5000倍の高配当を誇る超射幸機である。

国の許可を受けていたにもかかわらず、事実上の賭博機であった。調査の結果、映像物等級審査委員会の認可過程に賄賂が絡んでいたことが発覚し、政府機関の汚職問題にまで発展。韓明淑首相が国民に謝罪する異例の事態となった。翌年には法改正で商品券交換が禁止され、「メダルチギ」も完全排除された。韓国のパチンコブームは、わずか2年で幕を閉じた。

その一方で、2008年に就任した李明博大統領に対し、民団関係者が同胞の基幹産業であるパチンコの規制緩和を大統領を通じて、日本政府に陳情する動きがあった。

しかし、政府関係者の反応は冷ややかだった。

「李明博は大阪生まれだったかも知れないが、韓国の国益を考えるのが大統領の仕事。在日産業が発展してその税金が韓国に落ちるわけでもないのに、協力するわけがない。韓国籍でも日本に住んでいると徴兵に取られることもないので、平和ボケしている」

韓国に住まない在日同胞への皮肉を込めたこの発言に、日韓の温度差がにじむ。メーカーも同時期、韓国での市場開放を求めて働きかけていたと思われる。その後親日派の大統領も誕生したのだが…。

国内の生産体制の落ち込みを、輸出で補う狙いだった。

ホール運営も日本からの参入を目論んだ。「100店舗は行ける」という強気の見通しも立てていたが、政治の不安定さとギャンブル嫌悪が根強い韓国では、パチンコの再上陸は果たせなかった。

パチンコという文化が一度でも国境を越え、熱狂と混乱をもたらした事実は重い。国内市場が先細る今、業界は改めて“外へ出る”ことの意味を問われている。



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未婚化社会を救うお見合い復活。ホール企業が挑む縁結びの新事業

2020年の国勢調査によると、50歳時点での生涯未婚率は男性が約28.3%、女性が約17.8%に達した。1970年には男性が1.7%、女性が3.3%ほどだったことを考えると、男性は約26ポイント、女性も約14ポイント以上増加しており、日本社会はかつてないほどの「未婚化時代」を迎えている。特に近年は男性の未婚率が女性より約10ポイント高く、この傾向は2005年以降ほとんど変わっていない。

未婚化が進む背景には、経済的な不安や出会いの減少、価値観の多様化、女性の社会進出などがある。結婚に対するハードルは上がる一方で、「独身のほうが気楽」「自分の時間を優先したい」という意識も根強い。かつてのように「結婚して一人前」という社会通念は完全に薄れてしまった。

しかし、少子化の根本的な要因を突き詰めれば、結婚する人が減っていることに行き着く。国の政策がいくら子育て支援を拡充しても、そもそも結婚する層が減れば出生数は増えない。少子化対策の切り札は、未婚率を下げることにある──。その現実を直視し、あえて「お見合い結婚の復活」に活路を見出そうとしているホール企業がある。

同社は、マッチングアプリやAI婚活が主流の時代にあって、あえて昔ながらの仲人型お見合いシステムを現代風に再構築しようとしている。戦後の日本では、結婚の約7割が見合いだった時期がある。ほとんど付き合いを経ず、写真一枚で結婚が決まり、それでも多くの夫婦が家庭を築いてきた。女性は30歳を過ぎると「売れ残り」、「恥」と見なされる風潮すらあったことから多くの女性が「結婚して家庭を守る」ことを人生の前提にしていた。

同社が注目するのは、お見合い結婚の持つ「合理性」と「持続力」だ。お見合いは最初から結婚を前提とした出会いであり、目的が明確だ。恋愛の駆け引きや時間の浪費が少なく、互いの条件や価値観を冷静に判断できる。加えて、仲人の存在があるため、トラブルを避けやすく、離婚率も比較的低いとされる。生活圏外の相手と出会える可能性もあり、地域や職場に縛られない見合いもが可能になる。

現代版お見合い事業として同社が描く構想は、ホールの地域ネットワークを活かし、信頼性の高い「人と人の縁結び」を行うことだ。マッチングアプリのような匿名性ではなく、身元の確かな参加者が集う「安心の場」を提供する。オンラインと対面を組み合わせたハイブリッド型サービスとして展開すれば、時代に合った形で縁結び文化を再生できるかもしれない。

結婚の形は時代とともに変わる。しかし、人が人を求める根源的な欲求は変わらない。お見合いの復活は、単なる懐古ではなく、合理性と信頼を兼ね備えた新しい婚活モデルになり得る。

温故知新。未婚化社会の出口を探るヒントは、未婚率が低かった半世紀前の日本にあったとも言える。


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パチンコ技術はモビリティー分野で真価を発揮?

あるパチンコメーカーが、自動車産業の中でもモビリティ分野への参入を進めている、という。最初にこの情報を聞いた時「なぜパチンコがクルマに?」と耳を疑った。しかし、調べて行くうちに意外にも親和性が高いことが分かって来た。

理由は単純だ。パチンコ機ほど、異常なまでに厳しい制約条件の中で作られてきた電子機器は、他にほとんど存在しないからだ。

それは意外にもパチンコ機の「主基板」で培われた技術だった。Z80に代表されるCPUとアセンブラによる制御は、華々しいITの世界で時代遅れだと思っていた。しかし、その本質は自動車の電子制御ユニットと驚くほど似ている。

自動車制御の世界では、1ミリ秒の遅延が事故に直結する。パチンコ機もまた、1ミリ秒単位でフラグを監視し、決して誤作動を起こさないことが前提だ。しかも24時間365日、ノイズにまみれたホール環境で、フリーズは許されない。この「絶対に落ちないソフトウェア」を作る文化は、自動車業界から見ると優れた技術の一つでもある。

一方、サブ基板で培われた技術は、次世代自動車の「顔」となる運転席周りの液晶ディスプレイと親和性が高い。メーター類やナビが液晶化され、「走るスマホ」とも言われる現代のクルマにおいて、パチンコのド派手な3DCG演出や複雑な情報表示のノウハウは、そのまま武器になる。

さらに、インターネット接続による動画・音楽再生、アプリ利用の分野では、ユーザーを飽きさせない演出、感情を動かす激アツ演出といった“ゲーム的発想”が求められており、ここでもパチンコのDNAが発揮できる。

もっとも、技術が近いからといって、簡単に越えられる世界ではない。最大の壁は設計思想の違いだ。

パチンコ業界の最大の敵は「ゴト」であり、守るべきものは出玉の公平性だ。一方、自動車業界の敵は「故障・誤作動」であり、守るべきものは人の命である。

その結果、自動車にはISO26262に代表される機能安全という極めて厳格な国際規格が立ちはだかる。ここに対応するための組織体制、文化、責任の構築こそが、本格参入の最大のハードルとなる。

市場が縮小する中、パチンコメーカーにとって自動車産業は単なる新規参入ではない。Z80の職人芸と最先端の描画技術を横展開する、生き残り戦略として極めて理に適っている。

若い技術者にとっても、「今はパチンコを作っているが、その技術はいずれトヨタやテスラでも使える」という未来が見えれば、この業界の見え方も変わってくる。

もし、パチンコメーカーが空飛ぶクルマの制御ソフトを作る日が来たら――そんな想像をしてみるのも、案外悪くない。



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宴席で最初の一杯に水を注文したことが訴訟問題へ発展

今年1月、都内のホール企業で、中途入社の新人Aさん(26)の歓迎会と新年会を兼ねた宴席が設けられた。Aさんは人材派遣会社の紹介で入社し、将来の幹部候補とされていた。社長自身が面接を行い、明晰な頭脳に対して年俸も社長判断で決められた、いわば期待の星だった。

宴会が始まり、最初のドリンクを注文する場面で、思わぬ空気が流れる。多くの参加者がビールやハイボールを頼む中、Aさんは静かに「水」を注文した。Aさんは酒を一切飲めない体質だった。

Aさんの対面に座っていた社長が怪訝な表情を浮かべた。酒が飲めない人でも、ウーロン茶やコーラを頼むのが“普通”だという感覚があったからだ。

社長はその場で、「一杯目はドリンクメニューにあるものを注文するのが、店に対するマナーであり常識だろう」と注意した。

するとAさんは、落ち着いた口調でこう返した。

「ベジタリアンがいるのと同じで、マナー以前に私は水しか飲みません。水を頼んで怒られたことは、これまで一度もありませんでした」

この一言で、場の空気は一変する。

社長は「メニューにあるものを頼むのがマナーだと言っている」と声を荒らげ、Aさんも「その考えを押し付けられる筋合いはない」と譲らない。口論は激しさを増し、ついに社長は「お前なんか辞めてしまえ!」と怒声を上げた。

売り言葉に買い言葉。Aさんはその言葉を額面通りに受け取り、何も言わずに席を立ち、宴会場を後にした。

怒りが収まらない社長も宴会場から立ち去り、残された社員だけでお通夜のような宴会がつづいた。

数日後、会社に届いたのはAさんの代理人弁護士からの通知だった。

「公衆の面前での叱責による精神的苦痛」と「不当解雇」を理由に、慰謝料として550万円を請求する内容だった。その金額は、皮肉にも社長が決めたAさんの年俸と同額だった。

社長は争う構えを見せているが、社内では別の見方もある。社長には以前から感情的に叱責する、いわゆるパワハラ気質があった。一方、Aさんには自閉症スペクトラム(ASD)の特性があり、場の空気を読むことや、暗黙の慣習への対応が苦手だった。

「飲み会の常識」を、多様性の時代に生きる若者に、それもASD特性を持つ者に力ずくで押し付けた結果、会社は期待の若手と多額の金、そして社会的信用を失うリスクに晒されている。

一杯の「水」を許容できなかった代償として、550万円はあまりに高い授業料となるのか。争う構えを見せる社長だが、その背中はどこか孤独に見えた。

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