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悪いギャップの魔術とは。70歳販売員が1日16万円を売るコツ

「悪いギャップを与える」

これは現在70歳になるパチンコ好きのウィッグ販売員が独自に編み出した営業手法だ。彼女は店頭販売で1日平均16万円分のウィッグを売りさばく。驚異的な数字だが、その裏には巧妙な心理操作がある。

その前にまず、ウィッグの価格帯を見てみよう。

レディースアデランスの既製品は1~2万円の入門モデル、標準品は2~4万円、オーダーメイドになると10万円以上に跳ね上がる。

購入者の大半は頭頂部の薄毛に悩むシニア層で、長年の自己コンプレックスを抱えている人が多い。そこに彼女の手法が牙をむく。

彼女の第一声は必ずこうだ。

「買わなくていいのよ」

買わせようとしない態度で警戒心を解き、軽い気持ちでウィッグを被ってもらう。鏡の前で客が自分を見入った瞬間、彼女はウィッグをサッと外す。

そこに映るのは先ほどウィッグで若返った自分ではなく、薄毛が露骨に見える元の老けた自分の姿。

この落差、すなわち「悪いギャップ」を与えることこそが、彼女の営業テクニックだ。

人は現状維持に戻った瞬間の失望に弱い。

買う前は悩んでいても、ウィッグを被った後に外されると「今の自分を受け入れたくない」という感情が湧きだす。

ウィッグは「商品」ではなく「若返りのアイテム」に変わる。客の脳は理屈ではなく感情で動く。

だから彼女はウィッグを売るのではなく、客自身に「戻りたくない自分」を見せつけるのだ。

さらに彼女の営業先はホールだ。彼女は稼ぎがあるため、おカネには困らない。行きつけのホールは10店舗近くあり、そこでターゲットを探す。

シニアの常連は髪に悩みつつも時間と資金に余裕がある、まさに理想的な顧客だ。

「パチンコしている女性は基本的におカネを持っているから売りやすい」と笑う。

商売道具を常に持参し、薄毛の女性客に声掛けのタイミングを計る。ホールでの顧客は100人を超えるという。

この手法はパチンコ業界にも応用できる。業界は常に「還元」「楽しさ」「夢」を売ろうとするが、実際の客心理はそれほど単純ではない。

人は良い状態を見た後で悪い状態に落とされ時に強烈に動く。負け続ければ離れる。「一度勝ったのに負けたから」追うのだ。つまり悪いギャップは人を動かす強力な燃料になる。

ウィッグ販売員はその本質を知り尽くしている。彼女が鏡を使って客に示すのは「取り戻したい自分」。

業界が回復を望むなら、客の中にある「戻りたくない自分」を刺激する仕掛けを考えるべきだ。悪いギャップは、売る気のないふりをする70歳の老婆が1日16万円を売る秘密であり、衰退するパチンコ業界へのヒントでもある。



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