出張族は金券ショップで新幹線チケットを安く買って、正規の料金を会社に請求。その差額で飲み代の足しにする、というささやかな楽しみがなくなった。金券ショップにしても新幹線の回数券は収益の大きな柱だっただけに痛手である。
商品券は新幹線の回数券に比べて利益率は0.1%、と低く、100万円分仕入れて完売しても利益は1000円ほど。これではうま味がない。
まさに金券ショップはオワコン状態と言っても過言ではないのだが、その状況でホールオーナーへチケットショップの買収話が舞い込んできた。オーナーは意外にも「赤字になっていないのなら買ってもいい」と乗り気なのだ。元手もランニングコストもほとんどかからない、というのがオーナーの見立てである。
前述の通り、新幹線の回数券廃止や、コンサート・イベントの電子チケット化など、紙のチケットの必要が減少している。これにより、物理的なチケットを扱うビジネスモデルは当然ながら縮小の方向に向かっている。
さらにJRの「スマートEX」やイベント主催者による公式販売プラットフォームの普及により、正規の販売ルートが強化され、チケットショップの中間的な役割が弱まっている。
将来的に見ても、現在の「チケットを安く仕入れて高く売る」ビジネスモデルは、需要の減少と電子化の流れで、これまでの規模を維持するのは困難な状況だ。
チケットショップ側からは「昔はパッキーカードがよく売れた。パチンコ用のギフトカードがあれば売れる」とオーナーを焚きつける。
パッキーカードは高額の1万円券が全国共通で使えるために、瞬く間に偽造の餌食になった。偽造が横行して手の施しようがなくなったNTTのテレホンカードの技術を応用していたので、いとも簡単に破られた。
偽造には二通りあって使用済みのカードを改ざんする方法と、組織的に印刷会社から生カードを盗み出し、暗号化アルゴリズムを組み込んだソフトウェア開発し、カードのデータ構造に従ったエンコードを行う。生カードに対して「有効なデータ」を書き込めば真正偽造カードの出来上がりだ。こうしたカードが金券ショップに持ち込まれて換金されていた。
少し本題からそれてしまったが、今はチケットショップよりも、商品買取業の方が隆盛を極めている。個人や企業から不要になった商品や資産を買い取り、それを再販売するビジネスだ。チケットショップと相通じるところがあるが、リサイクルやサステナビリティの観点からも重要な役割を果たしている。
買取店は、仕入れ価格と販売価格の差額が主な収益源だ。できるだけ安く仕入れて、クリーニングや修理をするなど付加価値をつけて高く売ることで生まれる差額が儲けとなる。
やるならこっちでしょ。

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