
実際、損害保険会社の社名を見れば、過去に複数の企業が統合されてきたことが分かる。例えば、三井住友海上は三井海上火災保険と住友海上火災保険の合併により誕生し、あいおいニッセイ同和損害保険も、あいおい損害保険とニッセイ同和損害保険が統合して現在の形となっている。これらの合併の背景には、自然災害の増加や市場環境の変化が大きく影響している。
東日本大震災や能登半島地震をはじめ、日本では毎年のように地震や水害などの自然災害が発生しており、保険金の支払いが増大している。加えて、主力の自動車保険市場においては、若者のクルマ離れや、安価なネット保険の台頭によって保険料収入が減少する傾向が続いている。
こうした状況下で、損保各社は合併による業務の効率化と収益力の向上を模索している。今回の三井住友海上とあいおいの合併も、こうした生き残り戦略の一環である。
一方で、遊技機メーカーの再編についても、業界内では長年噂されているが、表立った動きはまだ見られない。しかし、パチンコ業界が縮小し続ける中で、メーカー各社もいずれは何らかの再編を迫られる可能性が高い。業界全体の売り上げが減少すれば、企業間の統合によるコスト削減は避けられない。例えば、遊技機の生産工場を統合することで生産コストを抑え、企業の競争力を維持することが考えられる。
実際、稼働率の低い工場を維持することは、企業にとって大きな負担となる。その点、フィールズのように自社で工場を持たず、開発と販売に特化するビジネスモデルは、結果的に合理的であったといえる。遊技機メーカーが生き残るためには、単なる統合にとどまらず、製造プロセスの見直しや新たなビジネスモデルの採用も重要となる。
この動きは、他の業界にも共通して見られる。例えば、自動車業界では、三菱自動車がEV車の生産を台湾の鴻海精密工業に委託することで、自前の工場を持つことの非効率さを回避している。生産コストの抑制で、技術開発の資金を確保する狙いもありそうだ。
遊技機メーカーも、製造部門を外部委託し、開発やマーケティングにリソースを集中させる戦略を採用することで、生産コストを削減し、技術開発の資金を確保することが可能となる。
しかし、単に生産コストを削減するだけでは業界の縮小を食い止めることはできない。根本的な問題は、遊技人口の減少にある。メーカー各社は新規ユーザーの獲得に力を入れるべきだが、現在の取り組みは射幸性を高める方向に偏っている。このような戦略では、一部のギャンブラーを引き止めることはできても、新規ユーザー層を取り込むことは難しい。
遊技人口を増やすためには、従来のパチンコやスロットのイメージを刷新し、幅広い層が楽しめるような施策を講じる必要がある。例えば、低リスクで遊べる新しいゲーム性の導入や、ライトユーザー向けのマーケティング展開などが求められる。
損保業界の再編と同様に、遊技機メーカーも変革を迫られている。市場が縮小する中で、従来のビジネスモデルに固執することはリスクとなる。競争力を維持するためには、業界全体で新たな戦略を模索し、持続可能な成長を目指す必要がある。

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