パチンコ日報

ニュースにならないニュースの宝庫 

ノビルホールディングス、パチンコ事業撤退に見る業界の病巣

徳島県でホール企業として最大手であるノビルホールディングスが、県内を中心に運営している全36店舗を平成観光に譲渡し、パチンコ事業から完全に撤退するというニュースは業界関係者に大きな衝撃を与えた。

ノビルホールディングスは、かつてプライベートブランド機を開発するため、メーカーであるバルテックや大和製作所を傘下に収めるなど、独自路線を歩んできた企業であった。それだけに、今回の撤退劇は重みをもって受け止められている。

ノビルホールディングスの公式ホームページを見ると、同社はホール事業以外にも幅広い事業展開を行っている。タクシー事業、飲食業、温浴施設運営、ゴルフ場経営、自動車販売、メガソーラー事業、日本酒販売、農園事業、土木・建設業、ファイナンス事業、不動産開発、さらにはベンダー事業に至るまで、多岐にわたる事業を展開している。表面上は多角化に成功しているように見えるが、実態は異なる。

実際には、グループ全体の売上の8割をパチンコ事業が占めているとされており、その大黒柱を手放すという決断は、単なる事業再編では済まされない大きな意味を持つ。経営資源を他の事業に集中させるためとはいえ、背水の陣であることは間違いない。今年1月に発表された決算公告では赤字を計上しており、パチンコ事業の不振がグループ全体に与えている影響の大きさを物語っている。ノビルホールディングスは、苦渋の決断として「パチンコに見切りをつけた」と解釈するべきであろう。

一方、業界全体にも暗雲が立ち込めている。特に、低貸し専門店のビジネスモデルは既に破綻寸前といえる状況だ。閉店が相次いでいるホールの多くは、低貸しを中心に営業していた店舗である。かつて低貸し市場を開拓し、牽引してきたダイナムですら、1円パチンコから2円パチンコへのシフトを余儀なくされている事実は、状況の深刻さを如実に物語っている。

さらに深刻な問題は、業界の体質そのものにある。現在のパチンコ機は、大量出玉を狙うため、1個返しという仕組みが常態化している。この仕組みは、短期間で大きな出玉を得たいというギャンブル志向の強い一部のユーザーには好まれているが、結果として一般ユーザーを遠ざけ、業界全体の市場を縮小させる要因となっている。パチンコの本来の娯楽性を無視し、目先の射幸心に訴える機械作りに邁進してきたことが、業界の長期的な衰退を招いたと言わざるを得ない。

業界を再生させるためには、まず「原点回帰」が必要である。業界が最も輝いていた時代、すなわちライトミドルスペック機が主流であり、交換率も現在よりはるかにバランスが取れていた時代のあり方を、業界関係者は今一度真剣に見直すべきである。

単なる懐古ではない。持続可能なビジネスモデルを構築するためには、当時のスペックや交換率を現代に合う形で復活させることが急務なのである。

ノビルホールディングスの撤退は、単なる一企業の出来事ではない。パチンコ業界全体に突き付けられた厳しい現実であり、今後の業界の方向性を占う重要な警鐘である。今こそ業界全体が本気で自らを改革しなければ、未来はない。



人気ブログランキングへあなたのポチっ♪が業界を変える

※コメントには必ずハンドルネームを入れてください。匿名は承認しません。コメントがエントリーになる場合もあります。