パチンコ日報

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常連客が残した置き土産の顛末

年末、とあるホールの出来事。

70代後半の常連客が顔なじみの従業員にこう話しかけた。

「ここで打つのも今日が最後になった。長い間、色々ありがとう。これ皆で食べて」と言って、郷土の銘菓である五家宝(ごかぼう)の菓子箱を渡した。


これは蒸したもち米を伸ばし乾燥させて、水飴や砂糖で棒状に固め、きな粉を表面にまぶした郷愁を誘う素朴なお菓子だ。

なぜ、最後かというと、正月はこちらで迎えた後、息子さんが住む鹿児島へ引っ越すことになったようだ。

箱の中には100本ほどの五家宝が入っていた。さらに、箱の下には1万円札を忍ばせていた。

この1万円が旧札の聖徳太子のピン札だった。

聖徳太子の1万円札は昭和33年12月1日に発行され、昭和61年1月4日に発行が停止されている。若い従業員の中には初めて見る人もいるぐらいだった。

驚きはそれだけでなかった。記番号が777777だった。パチンコ業界的には非常に縁起のいい数字のゾロ目だった。

店長はすぐにオーナーに報告した。

オーナーは現物を見てピンときた。聖徳太子のピン札で7のゾロ目となれば絶対に価値があると踏んだ。

オーナーは聖徳太子の1万円札を100万円で買い取り、それは従業員で山分けすることになった。

後日、オーナーはいくらぐらいの価値があるのかを期待して鑑定に出した。

その結果分かったことはこれがニセ札だった。すぐに警察に届け出しなさいと警告された。

素人では見分けがつかないということは、巧妙なニセ札だということが分かる。

この聖徳太子のニセ札は、新紙幣の印刷が始まった2021年8月、都内のコンビニやドラッグストアなど130店舗で計142枚のニセ札が見つかっていた。すかしが入るなど精巧に作られていた。

この事件では20代のベトナム人3人が偽造通貨行使の疑いで逮捕された。

100万円で買い取ったオーナーだが、ニセ札だったとは従業員に伝えることはなかった。自分の戒めのためでもあるが、100万円は高い授業料となった。

では、ニセ札を使わなくとも所持することはどうなるか?

刑法150条では「行使の目的で」偽造通貨や紙幣などを取得した者を偽造通貨等取得罪として処罰するとしている。行使の目的とは、例えば代金の支払いに使用する目的など、偽造された通貨や紙幣を本物の通貨や紙幣として市場に流通させる目的のことを指す。

ニセ札とは知らずに偽造1万円札を受け取っている場合は、偽造通貨等取得罪として処罰されることはない。

また、ニセ札を所持しているだけで処罰する規定はないため、所持していても処罰されることはない。



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