あらゆる組織において、共通のものの見方、理解、方向づけ、努力を実現するには、「われわれの事業は何か。何であるべきか」を定義する事が不可欠である。
【引用:エッセンシャル版マネジメント P22より】
初対面の人に「あなたの会社の事業は何ですか?」と尋ねられたら、どう答えるだろう?
パチンコメーカーに勤める人は、遊技機の製造と販売と答え、ホールに勤める人は、遊技場の運営と答えるのが一般的ではないだろうか?
しかし先生は、「わかりきった答えが正しいことはほとんどない」という。
企業の目的と使命(事業)を定義する時、出発点は一つしかない。
「顧客」である。
顧客を満足させる事こそ、企業の使命であり目的である。
したがって、「われわれの事業は何か」との問いは、企業を外部、すなわち顧客と市場の観点から見て、初めて答える事ができる。
顧客の価値、欲求、期待、現実、状況、行動からスタートしなければならない。
【引用:エッセンシャル版マネジメント P23より】
「顧客は誰か」との問いこそ、個々の企業の使命を定義する上で、最も重要な問いである。
そしてこの問いも、簡単なものではない。
例えば、パチンコメーカーにとって、「顧客は全国のパチンコホール」。
ホールにとっては、「顧客は近隣のパチンコファン」。
その様に安直に決めてかかるのは、極めて危険だ。
この答えは、間違いではないが、はなはだ不十分である。
業界に籍を置いていた時、私も「顧客」とは何かを良く考えた。
ホールで お客さんの動向を観察した。
アンケートを実施した事もある。インタビューもした。パチンコを卒業した人の話も聞いた。元からパチンコに興味のない人の話も聞いた。
それでも、パチンコの「顧客」をすっきりと理解する事は難しい。ひとそれぞれ求めるものが違うと言う事もある。
しかし、パチンコに対し過度の期待や欲求を突き付けてくる人が多いのも事実だ。
他のレジャーと比較しても、その事はよく理解できる。
例えば、フィットネスクラブは、運動する機会を提供している。
それを通じて、顧客の健康への欲求、運動技術向上の欲求、楽しい時間を過ごしたいという欲求、会員同士の交流を楽しみたいと言う欲求等を、満たしてくれる。
これらを満たすサービスを企業が提供する代わりに、顧客は会費という対価を企業に支払う。すなわち、顧客と企業との間で、「Give and Take」「Win-Win」の関係が成立している。
しかし、パチンコの「顧客」がホールに期待する欲求は、これらの関係を無視している事が多い。
「楽しく遊んだので、その対価として喜んで代金を払う」という顧客は少ない。
一般的に、パチンコ客の欲求や期待は、もっと「強欲」なものである。 私は以前、次の様なアンケートを実施したことがある。
このアンケート結果を見てもわかる様に、「ホールは、客を楽 しく遊ばせた上、客にお金を払って下さい」。これこそが、顧客 の本音ベースの欲求と期待だ。
客の視点から言うと、「パチンコで遊んで、楽しく金を手にいれたい」である。
要するに、「 お金」のためというのが、圧倒的多数の回答だ。
ストレス発散 や、時間つぶし、遊びとして楽しみたい等という目的でパチン コをする人間は少ない。
果たして、パチンコはこの様な顧客のニーズに応える事ができ るのだろうか?
【次回につづく】
あなたのポチっ♪が業界を変える
ドラッカー先生に学ぶ その3 「使命とは何か その1」
同じテーマの記事
- ドラッカー先生に学ぶ その2 「マネジメント三つの役割」02月16日
- ドラッカー先生に学ぶ その1 「組織の役割」 02月16日