まさに、サービス券が「行かなければ損」であり「使わなければもっと損」という心理を刺激し、売上の底上げに寄与している好例である。
この損した気分を放置できない心理に注目し、それをまったく別の形で応用したのが、あるキャバクラ経営者だ。
彼が配布したサービス券は、次回の来店時に好きなキャバ嬢から「ほっぺにキスしてもらえる券」。金銭的価値はゼロだが、男性のスケベ心と承認欲求を絶妙にくすぐる内容だ。
この「ほっぺにキス券」は瞬く間に大ヒットし、店の売上に大きく貢献したという。彼いわく、「使わなければ損」というより、「使わなきゃ後悔する」と思わせたのが成功のポイントらしい。
キャバクラ経営者の視線はパチンコ業界に向けられていた。
「私もたまにパチンコをやるけど、あそこはお客さんを常に損した気分にさせている業界。みんな損を取り戻したくてまた行くけど、還元が少なすぎて途中で心が折れるんだよね」
キャバクラ経営者とは思えないほど本質を突いた指摘である。確かにパチンコは「勝ったから行く」というより、「負けたから取り返しに行く」という心理が強い。
かつて遊技人口が3000万人に達した時代は、10回打って3〜5回は勝てるという、ある種の希望が確かにあった。だから負けても次の来店動機が生まれた。
しかし現在はどうだ。10回打って10回負けるような還元率まで下がり、取り戻すどころか、打つほどに絶望が蓄積されていく。これでは再来店どころか離反を加速させるだけだ。
パチンコ業界が衰退した要因の一つは、「損を取り戻せる気がしない」状態にしてしまった点にある。損を取り戻すチャンスがなければ、そもそも客は戻ってこない。
C&Cやキャバクラ経営者が巧みに使った「行かなければ損」「使わなければ損」という心理設計を、パチンコ業界は真逆に動かしてしまっているのだ。
では、パチンコ業界に必要なのは何か。それは「行かなければ損した気分になる仕掛け」だ。ただし、これを額面どおりのサービス券で行えば、警察から「射幸心を煽った」として行政指導の対象になる。だからこそ、発想が求められるのだ。
直接的な還元ではなく、付加価値、体験型の特典など、やり方はいくらでもある。
キャバクラ経営者は最後にこう指摘する。
「何をサービスにするかは、パチンコ業界の頭の中にあるでしょ。本気で考えれば、まだやれることは山ほどあるはずだよ」
パチンコ業界が再び客足を戻すには、まさにここが出発点なのだ。
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