法律用語を使ってあえて難解に表現するのが官僚だが、見通しを妨げる設備について次のように通達している。
違反の該当性
風俗営業の営業所の構造及び設備については、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号。以下「風営法」という。)第12条において、「風俗営業者は、営業所の構造及び設備を、第4条第2項第1号の技術上の基準に適合するように維持しなければならない。」と規定されており、この技術上の基準である風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則(昭和60年国家公安委員会規則第1号。以下「施行規則」という。)第8条では、「客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと。」(法第2条第1項第7号に掲げる営業の項の下欄第1号)等が定められている。
この「見通しを妨げる設備」については、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準について(平成22年7月9日付け警察庁丙保発第14号、丙少発第22号。以下「解釈運用基準」という。)第11中8(1)において、仕切り、つい立て、カーテン、背の高いいす(おおむね高さが1メートル以上のもの)等をいうこととされており、風俗営業の営業所において、解釈運用基準に示された設備その他の客室の見通しを妨げる設備が設けられている場合は、風営法第12条の営業所の構造及び設備の維持義務違反に該当する。
見通しを妨げる設備についての考え方
施行規則第8条において、「客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと」との基準が設けられている趣旨は、風俗営業の営業所内において、善良の風俗を害するような行き過ぎた行為が行われることを未然に防止しようとすることにある。ここで、客室に置かれる設備については、様々な形状のものが想定され、それらが置かれる位置もまた様々であることが想定されるところ、当該規制の趣旨に鑑みれば、客室に置かれる設備について、一定の形式的な基準のみをもって直ちに「見通しを妨げる設備」と判断することは妥当でなく、それが設けられたときに、実際にその周囲の見通しを妨げるものであるかにより判断することが妥当である。
以上引用終わり
見通しを妨げる設備については、仕切り、つい立て、カーテン、背の高いいす(おおむね高さが1メートル以上のもの)、としているが、これはどう読んでも性風俗の店舗を指していると思われる。
店内で公然猥褻行為をさせないために、見通しを妨げる設備を設けたらダメということだと思うが、これを同じ風営法で括られているパチンコ店にも強引に当て嵌めて、メーカーが提供していた巨大な等身大パネルを店内から撤去させる口実だったようにも思われる。
この時、高さ1メートル以上の広告物などを店内に設置できなくなった。その一方で、高さが常時1.7メートル以上の位置にあるものは対象外となった。
島の上部に付けられる旗や看板は下端が1.7メートル以上のところなら見通しを妨げないものに定義されている。
見通しを妨げる設備についての説明が随分長くなったが、京楽の仕事人Vについて、こんなコメントがあった。
「牙狼の頭飛び出す筐体もそうだけど、仕事人の筐体の提灯は、風営法違反じゃないですか?営業所内の見通しを(170センチ以下)妨げるものの設置だと思います」(業界人)
ど派手筐体の先鞭を切ったサンセイも8月に納品が予定されている牙狼GOLDSTORM翔では、出っ張りにさらに磨きがかかっている。
どんどん、巨大化する筐体はこのまま各社が競争したら、また何らかの規制がかけられないか、と懸念してしまう。
では、業界人さんの風営法違反になるのではないか、という意見に対して2012年7月31日の警察庁の見解はこうだ。
いわゆる島設備(この通達においては、ぱちんこ営業の用に供するための遊技機及び周辺機器を設置するための設備をいう。)は、ぱちんこ営業の用に供するための遊技機及び周辺機器を設置している場合に限り、「見通しを妨げる設備」に該当しない取扱いとする。
島設備の中に入っている遊技機は、見通しを妨げる設備には該当しない、としているが、筐体上部から立体的な牙狼が飛び出してくるのは2014年7月だった。
パチンコ業界の悪いところは何でもやり過ぎてしまうところだ。そのたびに規制をかけられるのが業界の歴史でもある。
「ホールさんが島に飾り付けができなくなっているので、その声を筐体に反映させた」とのメーカー側からの声も聞こえてくる。
あるホール関係者は巨大化する筐体競争についてこう危惧する。
「今回はやり過ぎた感がある。そのうち筐体の出っ張り規制が実施されそう。そうなると筐体の見栄えが悪くなる。出っ張り規制で筐体がしょぼくなるのが心配」

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