「昔は業界がここまで落ち込むことは想像できなかった。そもそもパチンコは不況に強いといわれた。業界が全然違う方向に向かっている」(オーナーA)
パチンコは不況に強い。
今や完全に死語となったこのフレーズ。確かに30年前ならこの言葉も当て嵌まった。当時の不況は短期的で失業してもすぐに次の仕事は見つかり、将来に不安がなかったために、失業していてもパチンコするぐらいの余裕があった。
それが、バブル崩壊で失われた20年といわれるほど日本経済はデフレが続き、給料も上がらなくなった。それでも業界は平成8年までは30兆円の市場規模を誇っていた。
遊技人口は減れども、ギャンブル性の高い機械で、1人当たりの消費金額で売り上げを維持する施策を業界は取ってきた。
そんな方法がいつまでも続くわけもない。
遊技人口がさらに減り、稼働が落ちて粗利が減ると、営業努力をすることもなく、いとも簡単に釘を閉めて粗利を確保するホールも少なくなかった。そういうホールが今淘汰されて行っている。
「人材のいないホールがバタバタ逝っている。粗利ばかり取っていたら顧客も育つわけがない。半年粗利を取らないで営業出来れば、関東の様に人口が多いところならお客さんは戻ってくるかもしれないが、うちにそんな体力もなければ、勇気もない」(オーナーB)
「全国のオーナーの半分ぐらいが同じベクトルに向かわないと、前みたいな時代にはならない。しかし、誰も自分のことで精一杯。業界全体のことを考える余裕はない。だからパチンコ人口が3000万人に戻ることはあり得ない」(オーナーC)
会話の内容はすっかり諦めムードだが、希望の光は、ここでも他力本願。
「この業界がいいところは、大ヒット機が出ると業界全体が生き返ること。初代フィーバ、海物語、ジャグラー、4号機の北斗で助けられた。メーカーがそれに匹敵する台を開発してくれるのを待つしかない」(オーナーA)
最後はどうしても機械頼みだが、こればかりは否定できない。どんな名機であろうとも必ず飽きがくるからだ。テーマパークでもリピーターを増やすために、常に新しいアトラクションを投入。大型ショッピングモールも数年に1回はテナントを入れ替え全面改装を行う。
どんな名機が登場しようとも生かすか殺すかは、使う側のホール次第である。

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