「乱数を使って連チャンする波を作る。つまり偏りを作る乱数の研究をやっていた会社があります。それを大学の研究者を10人ぐらい集めてやっていましたが、結局モノにならず。2~3億は使っていたと思います」
文系の人間には乱数で偏りの波を作る、といわれてもサッパリ分からないが、何億も投資してモノにならなかった、ということだけは理解できる。
パチンコ業界の機械メーカーは一発当てればデカいが、この一例を見ても開発費には相当コストがかかることが分かる。世に出した機械が当たるかどうかは、現場に出てみなければ分からない。そういう意味でもメーカーの機械作りは高い開発コストをかけて売れるかどうかは、一種の博打でもある。
スロットのAT,ART規制に引き続き、パチンコのMAX機規制でホール現場は、売り上げが期待できる機械が消えることで粗利が取れなくなることに不安を覚えているが、開発現場は楽観的だ。
「決まったことを嘆いても仕方ない。開発現場は至って前向きですよ。スペックは確かに落ちますが、一歩でも上に行く機械を作ることに燃えています。規制があればあるほど技術者魂が燃えてきます」
AT,ARTはちょっとやり過ぎたことはメーカー自身が一番よく分かっている。それだけに規制をかけられることもある程度予測できていた。
「昔は塊での出玉が求められたのですが、営業スタイルが低貸しに変わったことで、今は遊技性をより楽しめるものに開発もシフトしています。ホール現場とディスカッションしたことがあったのですが、今の現場は連チャン性を求めていない。今の稼働状況と今受けている機械の現状分析すると新しい機械には何を入れるか。1+1は2ですが、プログラムには2になる過程が幾通りもある。それがプログラムの世界です」
何となく分かるがプログラムの世界は、数学嫌いには体が受け付けない。
「純増3枚が作れなくなるのを恐れているわけですが、5~6年前のビッグが当たる機種は純増が1.5~1.8枚でした。ビッグの差玉を純増に置き換えると2.2枚は維持できる。ATでコントロールするのではなく、もう一回そこに戻ろうということです。ビッグを自力で引きながら1ゲーム2枚を維持する。それに遊技性や遊びを付加して独自性を出す」
現場が苦労して作った機械を最後に社長が試打してチェックする会社もある。その会社は社長試打専用のロムを作って、来週保通協へ入れる段階まで仕上げているにも関わらず、ここで社長のダメ出しが出る。悪いところを的確に指摘して、開発が誤魔化そうとしていた部分を見事に見破られる。
現場の苦労はお構いなし。社長の製品に対する嗅覚の高さが、ヒット機を連発する要因のようだ。

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