千葉県八千代市の「コンサートホール勝田台II号店」は、駅前型の中型店舗で、総台数は586台。駅前という立地に恵まれた営業を続けていたが、商圏内にマルハン千葉北店、マルハン習志野店を始めとする大型店の出店が相次ぎ、この3年間で6000台が増加した。

その煽りを同店も受ける。目に見えてお客さんが減りはじめ、最終的には200人あまりのお客さんが離反した。このまま何もしないで失敗することよりも、挑戦しないで失敗することの方を恐れた。
「期待」「感動」「満足」。一体何が不足しているのかをスタッフ一丸となって考えた。
まず、お客さんとの距離を縮めるために、新幹線の車内販売をヒントに、ワゴン販売を開始した。ワゴンにはタバコやペットボトルなどの飲料水を積んだ。お客さんとのコミュニケーションツールとしてワゴンを活用している。

続いて行ったのが、お客さん1人ひとりのアンケートの実施で、1人5分ほど時間をかけた。アンケートの回収率は70%以上に及んだ。

アンケートの要望ですぐにできるものは、すぐに実行した。
例えば、マナーの悪いお客さんには、リアルタイムで声がけした。コインが汚いという要望には、洗浄液を変えて対応した。
すぐに行動することでお客さんから「うれしい」という声も。
特にあいさつには力を入れた。それがコンサートホールファン創造につながると考えたからだ。

同店では、
①目
②声
③お辞儀
の3つでのあいさつを心掛けている。深々とお辞儀する姿はお客さんからも好評で、あいさつでは、どこにも負けない自信を持っている。
あいさつと連動して、ドアマンサービスも行っている。そのサービスは自己満足ではないか、という声もあるが、サービスでは集客できない、という業界の定説を覆すための挑戦でもある。数字では表れてはいないが、お客さんとの距離が縮まったことは実感している。

「お客様に喜ばれるサービスを追い続ける。利益は追い求めるものではない。マルハン出店で何をすれば生き残れるかを考え、行動したことで、壇上に上がれるぐらいに成長した。去年は予選で敗退した。2年前は覇気もチームワークもなかったが、この2年間で全員が成長した。意識が変わり、行動が変わった。われわれは感動空間の創造者になる」(金子店長)
大手が進出することで衰退するホールもあるが、最後は個店対個店の戦いであり、現場力の差が大きく影響する。
ホールとお客さんの距離が縮まるということは、再来店動機につながることを教えてくれた。

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