パチンコ店を辞めたい、という話ではなく、逆のパターンだ。
現在の会社は4社目だ。大学を卒業して営業会社を2社経験したのを経て、契約社員でパチンコ店へ。パチンコ店では3年ほど勤めていた。そろそろ定職に就きたいと考えている時に、ホールから正社員の話が来たが、この時期にほかの会社にも履歴書を出していた。
その会社は最初から正社員採用だったので、そちらを選択。そして、現在働いているのが警備会社だった。
勤務して4年になる。
入社して3年間はショッピングモールの警備を担当していた。1年前からスーパーの万引きGメンを担当している。
様々な現場を経験した後に、幹部社員の道が開けるのだが、万引きGメンは幹部候補生への登竜門である。
Aさんは現在の万引きGメンの仕事が嫌で嫌で仕方ない。それはノイローゼになるほどのレベルだ。
買い物客のふりをして毎日私服でスーパーに出社する。自分の存在を気づかれないように、身を潜めながら万引き犯を探す。
最近の万引き犯は20歳未満と60歳以上にはっきりと大別される、という。高齢者は認知症から万引きをする人も少なくないようだ。
万引きする商品は季節によって違ってくる。夏場なら涼感スプレーなどが狙われやすい。従ってそういう狙われやすいコーナーを重点的にパトロールする。
万引きしたところを現認して、レジを通らずに外へ出た時に声掛けをするのだが、この瞬間が一番苦痛に感じる時だという。
「万引き犯を検挙すると会社からは褒められますが、こんなことが世の中のためになっているのか疑問です。このGメンを後1~2年は経験しなければならないのかと思うと嫌で嫌でたまりません」
Aさんが警備会社を辞めて戻りたいと思っているのがパチンコ店だ。
それで、以前勤めていたパチンコ店の店長に電話を入れて、その旨を伝えている。
「今まで4社を経験していますが、今になって思えば、ホールの仕事が一番楽しかったです。ホールの仕事は単調に見えますが、毎日変化があって面白い。お客さんと毎日会話できることがどれだけ大切か。Gメンは身を潜めているから会話もない。ホールから正社員の声がかかった時は、世間体を考えて警備会社を選択しましたが、仕事として楽しいのはホールです」
店長の気持ちは、「戻って来い」。

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