店長が挙動不審な若者を発見した。20代で学生風だった。店では見かけない顔だった。足先が妙な動きをしていて、女性スタッフのスカートの中を盗撮しているような素振りだった。
店長は警察へ電話しようかと迷った。現行犯の確証はなかったし、事情聴取に時間を割かれるだけでなく、盗撮された女性スタッフがショックで店を辞めることも考えられたからだ。
店長はすぐにオーナーに電話して指示を仰いだ。
「まず、声掛けして、抵抗したらすぐに警察に電話しろ」
店長が躊躇した理由はもう一つあった。それは別のホールで起こったストーカー事件のことが脳裏をよぎったからだ。
女性スタッフをストーカーしているお客がいて、店内で無断で彼女の写真を撮ったりしていた。警察に相談に行ったら「それは本当にストーカーか?」と捜査協力する姿勢がまるでなかった苦い経験があったからだ。
そういう過去のトラウマを振り切り、店長は学生風の男に声を掛けた。
「つま先にカメラはないですよね」
この一言で男は慌てふためいた。
「警察には突き出さないから本当のことをいって」と追い打ちをかけた。
男はすぐに観念した。
事務所で道具を一式差し出した。コードがあってそれでシャッターを切るようになっていた。画像を確認するとこの店で撮影したと思われるものは1枚も写っていなかったが、他の場所で撮影した画像が何枚もあった。
「スカートの中を覗いて何が楽しいの? 盗撮もののDVDも売っているのに、どうしてそこまで危険を冒すの?」
「すいません、すいません」と何を聞いても「すいません」で男は押し通した。
「これを全部差し上げますので、許してください」と盗撮道具一式を置いていこうとした。
店長は男の目の前で、写っていた画像のメモリーを全部消去して、道具を預かった。
「これで盗撮から足を洗う彼の覚悟だと思ったので預かりました。二度と盗撮はしないで欲しい」と店長は警察にも通報しなかった。
エロカワイイユニフォームのホールがいくつかある。パンツが見えそうなものもあるが、そういうユニフォームはだいたい見せパンになっている。
最近もグランドオープンしたばかりのホールで盗撮があったが、掴まえてみたら業界人だった、と情けない話もある。

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