スナックなどが入店するペンシルビルに一室にあったこの店は、一旦閉じて、次へ移転することになっている。それほど流行ってきていて不審に思われることを警戒してのことだ。
入店するには紹介者が必要で、この時にケータイ番号を登録してもらう。店側のケータイに登録が完了すると、次回からは電話すると店の中に入れる仕組みになっている。
業界関係者はいきなり1玉300円コースにチャレンジした。1個穴に入るだけで、4500円になるわけだから、ハラハラドキドキ感は頂点に達する、という。
釘が多いのでゆっくりと、玉が落ちて行くのだがまるでスピード感はない。
最初の1万円は1玉300円コースで遊んだが、残りの2万円は1玉100円にレートを下げた。結局、3万円使って負けたが、2時間は遊べた、という。
ここでは、酒も飲めるので、常連客は酒をチビチビ飲みながら、1球ずつを大切に打っている姿が印象的だった、という。自分のペースでゆっくり、ゆっくり時間をかけながら遊んでいるわけだが、店側から「早く打て」と怒られることもない。
20代の若い客もいたので声を掛けてみた。
「よくくるの?」
「スロットをやってたけど、スロットは1ゲーム60円で2ゲームなら120円。ボクは1玉100円で打ってるけど、自分のペースで打てるところがいい。スロットはレバーを叩いた時にすでに抽選が始まって結果は分かっている。スマートボールは設定も関係ない。自分の運が目の前で見える。そのハラハラドキドキ感がたまらない」
60代の年配者にも話を聞いてみた。
「昔はポーカーゲームをやっていた。大きい役は遠隔でやっているのは分かっていたけど、遊びに行っていた。パチンコもやるけど、熱いリーチで外れた時のがっかり感がないのがいい」
連れの紹介者は1万円で4時間ほど遊んで1万8000円。差引8000円の勝ち。
業界関係者が体験してみて分かったことがいくつかある。
まず、パチンコのような騒音がないことは、逆に没頭できなかった、という。おまけに立ち見客の背後からの視線も集中できない理由の一つだった。
玉の流れがゆっくりしているので、気の短い人は向いていない、とも感じた。
その一方で、現代版のスマートボールはありだと感じた。むしろ、メーカーは現代版のスマートボールを試作して市場の反応を見た方がいい、と感じた。
そこに液晶などはいらない。
役物をもっと工夫すれば面白いスマートボールを作ることができる。
今回1玉100円がスリルを生んでいるわけだが、風営法では1玉4円。せめて1玉10円になればハラハラドキドキ感は味わえるかも知れない。
色々な可能性を裏スマートボールに見た…。
続きがある。
この業界関係者の紹介で、大手メーカーの開発者が潜入した。
「今のパチンコは1パチになって、安いから遊びやすいと思っているが、1発の重みがないのでハラハラドキドキ感がない。1発100円というレートはあり。1発に玉の重みがあるので、非常に丁寧に打つ。今のセブン機はスタートの位置も悪い。スタートに入ってもありがたみがない。1発のありがたさがないから、面白くないことに気づいた。そういう意味では収穫があった」と感想を漏らす。
やはりメーカーの開発陣も体験すると今後の機械を開発する上で何らかの刺激を受けるようだ。
まさに温故知新だ。
これをきっかけに業界の起死回生を図る革新的な遊技機が登場することを期待したい。

※コメントには必ずハンドルネームを入れてください。コメントがエントリーになる場合もあります。