複合ビルだが取り壊されたのちには、商業施設兼マンションとして売り出されることになるが、そのビルにホールが入ることもない。
都市再開発の立ち退きで、新たに生まれ変わった商業施設の1階にホールがオープンすることもあったのに、駅前一等地で営業しながら、業界から完全撤退は一つの時代が終わったことを感じさせる。
現在はまだ営業は続けている。完全閉店は来春の予定だ。これで影響を受けるのはホール従業員だけではない。
そう、そのホールを担当していた換金所の従業員だ。
当該換金所で働くA子さんは御年70歳。ここで30年以上働く大ベテランだが、当該店舗が閉店する情報など知る由もなかった。換金所は全く別の第三者が運営しているので、閉店情報などはなかなか入ってくるものではない。
「おばちゃんも死活問題だよ。後、5~6年は働けると思っていたのに…」と唖然とする。
この換金所は3人のローテンションで回している。一番若い人でも58歳。全員、業務請負という形態で働いている。要は個人事業主という形態だ。これなら雇い主は雇用保険を払う必要もない。働き過ぎで労基に訴えられることもない。
おばちゃんの日当は時給換算すると1時間1500円。7時間働いているので日当1万500円になる。休みは10日1回ぐらい。月給にすれば27万円ぐらいは稼いでいる。
「70過ぎてこんな楽で、給料のいい仕事はないよ。昔は計算間違いを自腹で精算していたので、日当が飛んだこともあったけど、今は機械が全部計算してくれるので、間違うこともない。特に、貯玉が普及してから閉店直後の忙しさがだいぶ減ったので、余計間違いがなくなった。夏はクーラーが効いて涼しい。冬は暖房が効いて暖かい。暇な時間はラジオを聴いたり、本を読んだり。本当にいい仕事だよ」
ホールの契約社員となると給料は17~18万円。ホールで走り回っているスタッフよりもいい給料をもらっている。
高齢者でも頭さえしっかりしていれば、生涯現役で働くこともできる。確かにいい仕事だ。幸い、おばちゃんは貯えもしっかりしているが、人生設計が狂ったことは間違いない。

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