世の中の流れはえてして変化するものだ。2006年頃から1パチが導入され、遊技客の志向は確実に低貸しに進んでいる。まさに、水は高いところから低いところに流れる如く4円から1円に向かった。
しかし、4円、20円で儲かった成功体験はなかなか忘れることができない。空気感漂う4円コーナーであろうとも、4円コーナーを捨てることはできない。
過去の成功体験が邪魔をして、時代の流れに対応できないホール企業が大半を占めているとも思える。1パチが始まった時に、売り上げ、利益とも下がることは想定できたはずだが、「いい機械さえ出れば、売り上げは復活する」と信じて疑わなかった。
「はっきり言って、もう4円は無理です。『まだ行けるんじゃないか』と昔の成功体験が邪魔しています。ウチの会社は上の判断、決断が遅い。1パチが主流になってから特に迷走しています。最近は新規出店で大成功を収めることもなくなりました。原因は上に進言できる社風ではないからです。上は神様のような存在なので下からは何もいえません。変なプライドも捨てることが必要だと思います」(大手ホール関係者)
その一方で広告宣伝規制が厳しくなった以降に店長になった人たちは、イベントで集客した過去の成功体験がない。
年齢は30代ソコソコ。やる気もあり、数値管理もできて、接客にも力を入れている。にも関わらず、数字を作った成功体験がないから、自信も出てこない。
店長が数字を作れないということは、お客さんの方も勝った成功体験がなくなってくる。成功体験があるからパチンコファンにもなるわけで、客が客を呼ぶ連鎖が断ち切れているのが現状だ。
成功体験がない店長は頭を絞った。イベント告知もできない現状で、お客さんと徹底的に向き合うことを考えた。
それで実行したのが休憩コーナーに「店長が来ます」と来る時間帯を書いたポスターを張り出した。
年配客は特に従業員に話し相手になってもらいたくて、ホールに来ている人も少なくない。
すでに1年以上続けているが、年配客は店長の予想通り、よもやま話をしにくるようになった。客から「トイレが汚い」といわれればすぐに掃除。要望はその都度改善した。若いスロッターからは「6を入れてよ」というようなところから、若年層とのコミュニケーションも始まった。
お客さんとのコミュニケーションが店長の成功体験になろうとしている。数字も徐々に上がってきた。

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