このホールは従業員用の2階建てアパートを所有している。部屋は全部で8室。うち、2部屋は家族向け、残り6部屋は単身者用の間取りとなっている。
家賃は家族用が2万円、単身者用は1万円、となっている。格安の家賃だがプライベートを大事にしたいということで、従業員はこのアパートに入りたがらない。アパートの半分が空き部屋となっていたため、オーナーは一般にも貸し出しを始めた。
事件はアパートで起こった。
一般の入居者の一人がそのホールの常連客だった。アパートに住んでいた副主任とこの常連客らがアパートで賭けマージャンをするようになった。
副主任は負けが込んでおカネが支払えないようになってしまった。この時、常連客から持ち掛けられたのが設定漏えいで負けを支払うことだった。
副主任は負けを清算するためにその誘惑に乗ってしまった。
常連客といってもホールに来るのは週1の割合だった。しかし、打ちに来る日は朝から晩まで終日打ち続けた。
そのうちに、他の常連客が来たときは必ず出していることに不審がるようになった。常連客は他の常連客を従業員以上に良く観察しているものだ。
特に毎回勝っていると、そのうち不正を疑うようになる。それで店長に不正があるのではないか、と打ち明けた。
こうして、副主任と常連客がつるんで設定漏えいしていたことがバレてしまった。
副主任は即刻解雇したが、警察沙汰にはしなかった。設定漏えいを受けていた常連客に対して、アパートを退去してもらおうとしたが、法律上できないことが分かり諦めた。
アパートに住んでいた他の従業員は不正に関与していなかったが、主犯格の常連客が居座っているので、アパートを退去させた。しかし、不正にも関与していないので、退去に対しては不満の声が挙がった。引っ越しが面倒くさいからだ。
結果的にはアパートに住んでいた2人の従業員は、どうせ引っ越すのなら、とホールを辞めてしまった。
オーナーが従業員寮として使っていたアパートの入居率が半分だったために、一般を受け入れてしまったために、起こった事件である。ということはアパートの入居率を高めようとしたオーナーの判断ミスが不正の原因を作ってしまったということである。
オーナーの判断ミスで3人の従業員を失ってしまった。

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