北関東のホールでの出来事だ。
50過ぎの知的障害者が入ってきて、通路で立ったまま体を揺すっていて、その場から一歩も動こうとしない。通路に立たれていては他のお客の迷惑にもなるので、ホールスタッフは通路に立たないように注意を促した。
ところが、言葉が理解できないのか、相変わらず体を揺すり続けているが、その場を動こうともしない。
通路のど真ん中でどこうともしないので、客は移動するのを気持ち悪がるようになった。
体を触って、逆に危害を加えられても困る。スタッフは上の指示を仰ぎたかったが、生憎店長は外出して不在だった。店長のケータイに電話すると「警察に電話はしなくてもいい。他のお客さんの迷惑にならないように、交通整理を頼む」と指示が返ってきた。
時間にして約20分。障害者の男性はその場を動こうとしなかった。そのうち近くで打っていた客が怖がって男性の周辺からいなくなった。
問題が解決したのは、障害者の男性の両親が店に探しに来たことによるものだった。親の言うことは分かるのか、素直に従った。
両親は80を過ぎていた。年老いて障害者の息子を育てている姿を見て気の毒になった。いずれ親の方が先に旅立つ。その時残された息子は一人では生きていけない…
今回の記事のテーマは突発的な対応である。
当該ホールは接客教育は行っていたが、こうした突発的な事態に対しては、どう対処すればいいか、ということは想定もしておらず、マニュアル的なものもなかった。
ホールは職業柄、できるだけ警察には手を煩わせたくない、と考えるホールが少なくない。今回は両親が探しに来たから問題は解決したが、探しにこなかったら、いずれ、警察にも電話することになる。
では、その際、どうやって警察に電話するか、ということが話題になった。
「行方不明者や迷子の届けが警察に上がっているケースもあるので、『こういう人が当店に来ています。警察の方でも探している可能性があるかと思われますので電話しました。当店で見張っていますので』と切り出せば警察の心証も違ってきます」(ホールアドバイザー)
今回は両親が探しに来たことで無事保護されたが、翌日、店長宛に母親の方から電話が入った。
「大変ご迷惑をおかけしました。また、行ったときはよろしくお願いします」
店長は複雑な心境になった。

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