営業中に釘シートと大きく違っているものは、ホールが釘調整したということになる。現実問題としては、それでも釘調整は続けられているが、釘調整が違法といわれるようになり、業界内でも釘調整という言葉を使うことが憚られるようになった。
釘調整に過敏になるあまり、ホール事務所に釘帳やゲージ棒、ハンマーなどの釘調整に関するものを一切置かなくなったホールもあるようだ。立ち入り調査に入られて警察から「これは何に使うものか?」と意地悪な質問をされても困る。それなら証拠物件を残さない、という選択だ。
事務所に釘調整に関するものを置かなくなっただけでなく、釘調整を担当していた店長を本社に上げたホールが、今、窮地に立っている、という。
「3店舗のホールで3人の店長を本社勤務にした結果、3店舗とも稼働が下がっているんですよ。現場は主任が見ているんですが、店長は閉店後に店舗へ行って釘調整をするんですが、お客さんの顔を見ることもなく、コンピュータの数字だけで調整しているのが裏目に出ているようです。データだけで叩くのは命取りになりますね」(事情通)
店舗と本社は車で30分~1時間半離れた距離にある。店へ移動するだけでも大変な労力がかかる。深夜作業がきつくなって1人が会社を辞めてしまった。3店舗を2人が見るようになり、ますます過酷になれば、手抜きだってしたくなる。
釘調整を突っ込まれないように過敏にオーナーが反応したがために、稼働を下げる結果となった。特に4円は壊滅的状態に陥ってしまった。
本来なら現場は上に対して自分たちの意見を言わなければならないが、そんな空気がないことも事実だ。
ドン・キホーテは創業以来28期連続で増収増益を続けている。圧縮陳列や手書きPOP、24時間営業によるナイトマーケットの開拓、インバウンド市場への対応などで若者を中心としたドンキ特有の顧客層を開拓してきた。接客とか、クリンネスでは高いレベルでもないのに、増収増益を続けられるのは、現場に全ての裁量権を与えているからだ。仕入れから値付けまで店長に任されている。これが現場のやる気につながっているとも言える。
そういう意味ではホールの店長は随分裁量権がなくなってきた。上から言われたことをきっちりやるだけでは業績を上げることはできない。
こうして経営が立ち行かなくなれば、警察にすれば計算通りということか。

※コメントには必ずハンドルネームを入れてください。匿名は承認しません。コメントがエントリーになる場合もあります。