ある男子生徒が、夏休みの課題として「パチンコの発展史」に関するレポートを書いたのだ。 自由研究といえば、昆虫採集や科学実験が定番である。しかし、彼が選んだのは、一般的な中学生には縁遠い「パチンコ」というテーマだった。
どうして、まだパチンコを打てる年齢にも満たない中学生が、このような研究をしようと思ったのか。その理由は明白である。
彼の父親が上場遊技機メーカーの開発にも携わる技術者であり、家にはパチンコ台とスロット台を併せて40台もあるという環境で育ったことが大きい。
こんな環境が、彼の研究テーマを決定づけた。
レポートは、概念的概要紹介ではなく、詳細な考察が行われていた。パチンコの草創期から始まり、戦後の荒廃期、正村竹一による「正村ゲージ」の発明、業界の発展、規制の変遷、さらに最近の市場動向に至るまで、自分なりの視点でまとめられていた。
特に、パチンコの神様とも呼ばれる正村竹一に関する記述には熱が入っていた。
しかし、彼の力作をどう評価すべきか担任は迷った。
理由は単純だった。
パチンコを打ったこともなく、全く知らない業界のことを適切に評価できなかった。
それよりも「中学生がパチンコに興味を持つのは問題ではないのか?」という懸念があった。
先生たちの頭の中には、「パチンコ=ギャンブル=悪影響」という固定観念があった。中学生がギャンブルに関心を持ち、将来、ギャンブルに嵌ってしまわないか、という不安もあった。
そこで、学校内で唯一パチンコ好きとして知られる別の先生にレポートを見てもらったことになった。
その先生の評価は、意外にも最高評価の「S」だった。
「これはすごい。単なるレポートではなく、歴史を理解した上で自分の考察を加えている。ここまで掘り下げたレポートは、大学のゼミでもなかなかお目にかかれないレベルだ」
やはり、歴史的な観点から見て、パチンコは日本独自の遊びの文化であり、遊技機でもある。さらに、産業としても無視できない規模に発展した。
そして、レポートの最後には、こう締め括られていた。
「早くパチンコが打てる年齢になりたい」
その言葉には、ただ遊びへの憧れではなく、自らがこの業界の未来を決めるという決意すら感じ取ることができた。
もし彼が父親と同じ道を進むなら、将来、新たな遊技機の開発に携わることができるかも知れない。そして、業界に革命を起こすような遊技機を開発する可能性だってある。
この自由研究が、彼の人生にどのような影響を与えるのか。そのことは、まだ誰にも分からない。
しかし、確かなことは、彼が並々ならぬ情熱を持っているということだ。パチンコ業界に新たな風を吹かせる日が来ることを期待したい。

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