このサービスは正社員を対象に、全国の宿泊施設やフィットネスクラブ、自己啓発講座、育児・介護支援など、幅広いジャンルのサービスを会員優待価格で利用できる仕組みである。企業側が費用を負担することで、社員の生活を多方面からサポートしようという狙いだ。
ホール企業でもこのサービスを導入している例は多い。ところが、意外にも実際に活用している社員は少ないというのが現状だ。たとえばリゾートホテルに格安で宿泊できる特典があっても、まとまった休みの確保や交通費の自己負担といったハードルがあり、利用しづらい面があるのだ。
そこで、ベネフィット・ワンが最近新たに提供を始めたのが、動画配信サービス「Netflix」の利用特典である。話題のドラマや映画、アニメ、ドキュメンタリーなどを自宅で気軽に楽しめるこのサービスは、多忙なビジネスパーソンにとっても非常に魅力的だ。テレビCMでも盛んに紹介されており、今後の利用拡大が期待されている。
このように、利便性の高い「手軽な福利厚生」は実際に使われやすいという傾向がある。
その実例として、あるホール企業で起きたアルバイト大量離脱の“事件”を紹介したい。原因はなんと「福利厚生」だった。
舞台は、ラウンドワンの近くにあるホール。時給面ではホールとラウンドワンに大差はなかったが、ある日を境にアルバイトが次々と退職し、ラウンドワンへ流れていったというのだ。調査してみると、その背景にはラウンドワンの“若者に刺さる”福利厚生があった。
まず、ラウンドワンではタイムカードが指紋認証式で、認証した瞬間から1分単位で時給が発生する。さらに、勤務後には福利厚生の一環として、ボウリング5ゲーム、カラオケ3時間、ビリヤードやダーツが2時間無料で楽しめる特典が用意されていた。働いた後にそのまま遊べるこの仕組みは、遊び盛りの若者にとって非常に魅力的だった。
一人のアルバイトがラウンドワンへ転職したことをきっかけに、その噂は瞬く間に仲間内に広まり、連鎖的に人が流出。結果として、ホールは深刻な人手不足に陥った。
この事例が示すのは、「福利厚生」の本質的な価値は、企業がどれだけコストをかけたかではなく、社員やアルバイトがどれだけ“実際に恩恵を感じられるか”にあるということだ。
遠方のリゾートホテルより、帰宅後に使えるサブスク。名ばかりの優待より、実際に“得した”と感じられるレジャー体験。企業が福利厚生を「提供する側の論理」で考えるのではなく、「受け取る側の気持ち」に立って設計しなければ、せっかくの制度も宝の持ち腐れになってしまう。
ラウンドワンのように、現場目線に立った仕組みを設けることが、若手人材の定着や採用力の強化につながる。その意味で、遊び心ある福利厚生は、単なる“おまけ”ではなく、人材戦略の重要な柱となり得るのだ。
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