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キットカットの小分けが招いた訴訟騒動

インバウンドで賑わう昨今、日本の菓子類は外国人観光客の間で人気を博している。その中でも、抹茶味のキットカットは特に注目を集め、訪日外国人の定番土産となっている。このような背景もあり、抹茶味のキットカットを扱う店舗は多い。

そんな中、あるホールが景品としてキットカットを提供していた。しかし、その提供方法が思わぬトラブルを引き起こすことになる。

このホールでは、一袋に7個入ったキットカットをバラし、それぞれを端玉景品として提供していた。しかし、このホールが取った「バラして提供する」という手法が、予期せぬ事態を招いた。

ある日、ホールの景品として提供されたキットカットを食べた客が、突然体調を崩し、「死にそうになった」と訴え出たのだ。病院に搬送されたこの客は、検査の結果、小麦アレルギーを発症していたことが判明した。

小麦アレルギーとは、小麦に含まれる「グルテン」というタンパク質に対する過敏反応によって引き起こされる疾患である。グルテンは小麦粉を水でこねることで生成され、パンやうどん、パスタなどの食品に含まれる。

小麦アレルギーの症状は様々であり、軽度のじんましんや腹痛から、重篤な呼吸困難やアナフィラキシーショックを引き起こすこともある。特に、突然発症した場合、適切な処置がなされなければ命に関わることもある。

問題となったのは、このホールが提供したキットカットの小分け包装には、成分表示やアレルゲンに関する情報が一切記載されていなかったことである。通常、メーカーで販売される商品の袋には、原材料やアレルゲン情報が明記されている。しかし、ホールは大袋から個包装を取り出し、それをさらに小分けして提供していたため、客がアレルゲン情報を確認する手段がなかった。


この客は、ホールに対し損害賠償を求め、330万円の賠償請求を行った。本来であれば、アレルギー反応を引き起こした食品の製造元であるメーカーに責任を問うのが一般的だ。しかし、今回はメーカーであるネスレではなく、ホールが訴えられた。その理由は、ホールが本来のパッケージを無視し、消費者が成分情報を確認できない状態で提供したことにある。

現在、この問題は裁判に持ち込まれる準備が進められている。ホール側は「もともと市販されている商品を小分けしただけであり、成分を改変したわけではない」と主張している。

しかし、食品の提供者には消費者が安全に摂取できるよう配慮する義務があるという観点から、ホール側の過失が問われる可能性がある。

今回の事例は、パチンコホールのみならず、飲食業界全体にとって重要な教訓を残した。食品の取り扱いにおいては、消費者が適切な情報を得られるようにすることが不可欠であり、安易な小分け販売が重大なリスクを伴うことを示している。

消費者側も、自分のアレルギーを把握し、食品を口にする前に十分な確認を行うことが求められる。特に、外食や購入した食品を食べる際には、成分表記を確認し、安全を確保することが重要だ。



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