最盛期でも3店舗で、現在は2店舗を駅前で運営している。うち500台クラスの本店は低貸しに走ることはなく、300台余りのパチンココーナーは4円のみで営業を続けている。
業界大手ですら4円パチンコの集客に困窮している状況で、今どき、パチンコを4円だけで運営できるのは希少性があるというもの。
「正月営業はオーナーの『正月早々負けたらお客様も気分が悪い。普段より出してあげなさい』との鶴の一声で大いに出しましたよ」(同ホール関係者)
正月営業は黙っていてもお客さんが来るので、ホールにとっては書き入れ時だったが、時代は確実に変わってきている。普段から負け続けていて、正月にシメたら身ぐるみはがされる、というものだ。遊技人口が減少する中で、正月でも出すホールにしか客は集まってこない。
「全国的に4円が揮わない原因はただ一つ。出さないからですよ」(同)
2店舗と言えば、零細ホールのグループに属するが、前述したように拡大路線に走っていないので、無借金経営であることが、同ホールの強みである。
4円コーナーを運営するために、新台を買わずに中古で機械代を抑えているか、といえば逆。中古は買ったことはなく、導入するのは新台のみ。本店で使った新台が低貸しコーナーもある姉妹店に中古で流れる。
もちろん、新台の機械代回収を他ホールのように急ぐこともない。新台の面白さを十分堪能できる。ここでも無借金経営の強みを発揮する。
「オーナーは業界の好調期、絶不調期を経験する中で、大きく手を広すぎて失敗するケースも見て来ています。大型店出店の案件が持ち込まれたこともありますが、『パチンコでそんなに儲けてどうする。今のままで十分』と断っていますからね」(同)
バブル期に金融機関から「株をやらないのは経営者ではない」と勧められ、皆がこぞって株に走り大やけどを負い会社を倒産させた。株に手を出さなかった経営者は無傷だった。つまり、このオーナーはパチンコバブルに一切踊らされることもなかった。
ちなみに、パチンコメーカーの営業マンによると、このホールの1台当たりの純益は全国大手の2倍以上あるそうだ。
こうした超優良ホールは全国に数は少ないが、あることはある。超優良でありながら跡継ぎがいないホールをM&Aしたホール企業はあるが、残念ながらこのホールには後継ぎがいる。

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