フランチャイズのメリットは「本部」が、開業に必要な要素(仕入れ、集客、商品開発など)をパッケージにして希望者に貸与し、ある程度の成功事例をベースに成功率の高いビジネスを可能にすることだ。加盟店は、本部へロイヤリティーを支払うことになるが、何よりも既にあるブランド力で商売できるメリットがある。
一方のデメリットは、本部に支払うロイヤリティーだ。これは、権利へ支払われる対価で、ロゴの使用や商品に対する販売権利、ノウハウの提供への支払いを指す。金額は企業によって違うが、一般的には歩合制、粗利益配分制、定額制の3パターンがある。
カプセルホテルをフランチャイズで運営しているホール企業のトップは「フランチャイズは本当に儲けが薄い。全く門外漢だったので仕方なかったが、フランチャイズはやるものではない。自社でやるのが一番」と自省する。
岡山を中心に13店舗のホールを運営するサンエイグループは、12月3日、岡山市南区妹尾に中華そば「よしだや」をオープンした。初の飲食事業だが、構想から3年がかりでオリジナルの味に仕上げた。醤油味ベースのあっさりとした中華そばに、連日客足が絶えない。

中華そばは同社の吉田清志社長が懇意にしているラーメン屋に、三顧の礼で弟子入りを志願したことから始まる。
吉田社長の熱意に負けた店主は「レシピや秘伝は教えられないが、アドバイスはしよう」ということになり、テナントを借りてラーメン研究所を作った。
飲食事業に進出するに当たり、社内公募したところ、3名が手を挙げた。ど素人の3人はラーメン評論家の石神秀幸氏が運営する「食の道場」に入学してラーメン作りの基礎を学ぶ。
本格的に自社のラーメン作りが始まったのは2年前から。麺は自家製麺に拘った。機械が麺を作るといっても、板状にしたものを一回休めて、2枚を重ねて、また休ませる。それを何日間寝かせたら最適の麺になるかを試行錯誤した。
一番苦労したのはスープだ。岡山は醤油味ベースの中華そばの激戦区でもあるが、敢えて醤油味を選択した。味噌やトンコツ味と違って、ごまかしが効かないのが醤油味だった。醤油味は繊細で、一番難しいものに素人が挑戦した。スープが完成していよいよ店が出せるまでに1年半の歳月を要した。

中華そば530円。比較的安い値段だ。これは吉田社長が1コインに拘った結果だ。
一般的には原価計算から値付けをする。飲食の原価率は3割と言われるが、素人が3割に拘ったのでは美味しいものを作れない。原価よりも美味しいものを作ることを優先させたようだが、現場の苦労は伺い知れない。
「おいしかった。また来るね、の一杯を作り続ける」
これはお店のコンセプトだが、パチンコホールと相通じるものを感じる。さしずめ、パチンコならこんな感じだろう。
「楽しかった。また来るね、の台を提供し続ける」
この共通コンセプトが繁盛店への道だ。
よしだや岡山本店と命名されているところに、今後のチェーン展開を感じさせる。

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