■ケース1 スマホ盗撮?
京浜東北線で通勤しているAさんは、これまで無断欠勤などするタイプではなかったが、年末、初めて会社に連絡することなく遅刻してしまった。
電車内では立ってスマホをチェックしていた。何かの拍子でスマホを床に落としてしまった。満員電車内で踏まれては大変とばかりに急いでスマホを拾い上げようとした時だった。
「キャー、痴漢!」とAさんの前に座っていた女性がAさんを指差し悲鳴を上げた。
Aさんは体を触ったわけでもなく、全く身に覚えがない。周りの乗客がAさんを取り押さえて次の駅で無理やり降ろされる羽目になった。
事務所に連れていかれ、取り調べが始まった。
駅員は女性にどこを触られたのか、と聞いたところ、意外な答えが返って来た。
「体は触られていません。この人盗撮していました」
女性はスマホを落とした振りをして、盗撮したものと思い込んでいる。ミニスカートを履いているわけでもなく、女性はズボンを履いている。
こうなれば、動画を確認してもらえば一目瞭然だ。
もちろんAさんのスマホにそのような動画は映ってはいなかった。
無罪放免されたが、1時間以上遅刻する羽目となる。
スマホが大画面になり、操作しづらくつい落としてしまうこともあるが、スマホは落下防止、置き忘れ防止のためにもネックストラップを付けることをオススメする。
ケース2 掏られた? 落とした?
ホールスタッフのBさんは、いつも財布はGパンの後ろポケットに入れる癖がある。Bさんの財布は長財布ではなく、二つ折りだった。
電車に乗った時は確かに財布があったのに、降りた時に財布がなくなっていることに気づいた。
Bさんは財布を掏られた、と思った。後ろポケットに入れること自体が間違っている。財布を掏って下さい、とスリに合図を送っているようなものである。
すぐに最寄りの交番に届けを出しに行った。
警察官から財布の特徴と中身を聞かれた。
正月だったので、いつもより多めの6万円が入っていた。キャッシュカードやクレジットカードも入っていたが、普段車は運転しないので、免許証は入れていなかった。
Bさんは中身を言うのを少しためらった。財布の中には恥ずかしいものが入っていたからだ。しかし、財布の中身の特徴的なものなので、意を決して話した。
「スキンが入っています」
警察は職業柄か、スキンの銘柄まで質問してきた。
届け出を終えて歩いている時にBさんはあることに気づく。Bさんが履いているBパンは起毛タイプで、後ろポケットに入れていたレシートが上の方まで上がってきていた。
起毛は滑りやすくなるので、座った時に座席に落としたのか、と考えたりしてみた。・
それから10日ほど経ってBさんのケータイに1本の電話が入った。
それはBさんの財布を道端で拾ってくれた人からだった。
どうして電話が掛かってきたかというと、ペットの診察券が入っていて、そこにBさんの名前と連絡先が書かれていたためだ。
拾ってくれたのはおばあちゃんだった。
現金だけを抜いて財布は捨てられたようだ。
この件をオーナーに話したところ、お見舞いとしてオーナーがBさんにプレゼントしたのは、超極薄の高級スキン一箱だった。シャレの効いたオーナーである。
Bさんの教訓はいうまでもなく財布はズボンの後ろポケットには入れないこと。カバンに入れた、カバンを酔っ払って落とさないようにたすき掛けでカバンは掛けること。

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