MAX機全盛の頃、今後の規制を見据えて脱射幸性にシフトするために、機種構成の3割を甘デジにした。4円のMAX機におカネがついていけないお客さんがどんどん1円に流れるのを見るにつけ、もっと穏やかな機種で4円を打ってもらおうと考えた。
ところが、店長の想いは全く通じることもなく、甘デジコーナーは散々な稼働状態が続いた。
店長に就任したばかりで前任の店長よりも稼働を落とすことはしたくなかった。生来の負けず嫌いに火が点いた。3割入れていた甘デジを再びMAX機に入れ替え、イベントでガンガン煽ったところ、稼働も再び上向き、グループの創立記念日の日には、グループでトップの稼働率をたたき出した。
稼働を延ばすためにはお客の滞在時間が長くなるように工夫を凝らした。客が疲れている頃を見計らってお茶のサービスをしたりした。
「MAX機があった頃は、利益が上がるので出玉も出すことができた」(店長)
射幸性の高かったMAX機が市場から撤去されて2年が経とうとしている。射幸性の高い機械は一発逆転の可能性があるために、お客も追い銭もしてくれた。MAX機が消えたことは業界としては痛手でもあるが、警察が目指すところは極力射幸性を落として、パチンコ依存症が増えないことだ。
しかし、警察の指導通りに事が進んでいくと、業界そのものが萎んでいく。
「今後カジノが開業して、パチンコがチマチマした機械ばかりになっていたら、お客さんはカジノに流れる。全部、キツイ台にする必要はないが、カジノ対策としてやはり、キツイ波のある台も多少は必要」(メーカー関係者)
MAX機は射幸性を求めるユーザーを始め、メーカーもホールもそれで潤った。3者の思惑が唯一一致していたともいえる。メーカーとしては3者が求めるものを開発して行くのが本来の姿勢でもあろうが、悲しいかな風営法という大きな壁が立ちはだかる。
著しく射幸心をそそるものは厳しく取り締まられる運命にある。
それでもメーカーはチャレンジする。甘デジと見せかけておいてラッシュに突入すればとんでもない出玉性能を秘めている。滅茶苦茶辛いが、一発逆転を求める層には一定の支持を得られる。
「ウチは過激なスペックは買えるだけ買えとの指示です。売り上げがここまで落ちてきたらそんなきれいごとは言っていられません。ただ、ウチはハネモノも大事にしていますよ。要はバランスです」(ホール店長)
何かとパチンコ業界のことで国会質問を続ける立憲民主党の高井高志議員は、自身のFacebookでこんなことを書かれている。
「カジノ法が成立してしまった以上、パチンコを正式にギャンブルと位置付けて、その代わり、パチンコ業界にギャンブル依存症対策にかかる費用を負担させる方がいいのではないか?この考えは「ギャンブル依存症を考える会」代表の田中紀子さんも同じ考えであり、賛同するパチンコ店も多いはずです。(多くのパチンコ店はめんどくさい「3店方式」はやめたがっています。)
パチンコ業法が成立すれば、パチンコ業界は警察の裁量権の大きい風営法から外れ、パチンコ業法の明確なルールに則って健全な営業を行うことにつながります」
カジノに対抗するためにはいつまでも風営法に縛られている場合ではない、ということのようだ。
「風営法のままでいい」というホールと「パチンコ業法でやりたい」というホールがあるように二者択一ができるようにすればいい。

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