台風直撃の夜、当該ホールは通常営業で閉店しました。理由は私鉄沿線でJRと違い、計画運休が無かったためです。
立地は駅前の約500台ホール。19時から急にお客様が減り始め、20時30分には、通常の日曜の同時刻の20%のお客様しかホール内にいませんでした。
やはりお客様は不測の事態を考え、早々と帰宅されました。
台風一過の月曜日から火曜日にかけて各ホール企業に30日の営業状況を聞いて回ると、
通常営業したホールが予想以上にあったことに驚かされました。
今回は運が良かっただけなのですよ。
私が出席した会議での発言や電話でホール関係者に話したことをこれから書きますので、ホールの上級管理職はぜひご参考にして下さい。
今回の関東地方への台風の通過は深夜帯だったのが幸いしました。
JR東日本が首都圏の在来線を計画運休すると決定して、そのニュースがテレビ速報で流れたのは、12時45分前後。
決定と同時に百貨店各社は営業時間の検討に入りました。
JR東日本が計画運休を実施するのは初めてでこれはただ事ではないと、百貨店の友人は「慌てた」と言います。
即18時閉店を決定。
テナントにも緊急連絡が入りました。百貨店の中に何店舗も店を構える老舗総菜店の関東地区のエリア長は「お客様の安全確保、従業員の安全確保ができてホッとした」と話します。
その決定が当たり前と思う業界の方々に、通常営業をした一部のパチンコ店や一部の飲食店の話をすると、全員が驚いておりました。
しかし、私は今回の通常営業について、こう擁護しました。
「店側がお客様や従業員の安全確保の対策がしっかり出来ていれば通常営業で問題はない」と。
つまり通常営業した店側は、その自信があったのでしょうから。
しかし、私が会議に出席したホール企業を含めて、大半の通常営業したホールさんには、お客様や従業員の安全確保の対策は万全で無かったと分かりました。
理由などの説明は下記のようになりますが、私の話を直接聞いた社員や電話で説明した社員の一部は、「確かにそうですね、今回は運が良かっただけで、台風の直撃時間が早まったら人道的問題を発生させるところだった」と胸を撫で下ろしました。

今回の台風は、八王子で風速45.6メートルを記録した他、各地も軒並み30m/s以上の風が吹き荒れ、千葉35.3m/s、横浜で38.5m/s、東京も29.5m/sを記録しました。
今回の台風24号は、最大瞬間風速は西日本では65メートルに達すると予想されていました。
風速65メートルって時速何キロだと思いますか?
時速230キロに相当します。
屋外の行動は非常に危険です。電柱や塀が倒れたり、走行中の車高の高い車は横転します。

9月4日に徳島に上陸した台風21号の時、関西空港では58.1メートル、和歌山市では57.4メートル、高知県室戸岬で55.3メートルの最大瞬間風速を観測しました。


この台風21号か、それ以上の威力があると言われた台風24号の予報を聞いた、関西の一部のホール関係者は、前日夜には翌日1日の全面臨時休業を決定しました。中には20店舗以上のホール企業も全店休業したところも。
さて、東京地方はどうか?
台風の到達時刻の関係から、台風による全日休業はありませんでした。
しかしJR東日本による計画運休が発表された関係から、百貨店をはじめとする各業界が閉店時間の切り上げを発表。大手ホール企業も夕方になって19時閉店を決めました。
これから本題です。
今回の台風24号は、深夜に東京地方を通過したから不幸中の幸いでした。
もしも台風の速度が早まり、23時前後に台風のピークがやってきたら、どうしますか?
閉店時間には、お客様を店外へ退出させなければならないわけです。
22:45に閉店して、23時にはお客様が店内に残らないように指導されている場合、
①風速45メートルが吹き荒れる外へお客様を出せますか?
②お客様が「この雨や風だから店内で待機させて欲しい」と懇願されたらどうしますか?
③台風が通過して天候が落ち着いたのは0時を回っていて、お客様を待機させていた場合、所轄の判断はどうですか?人道上の理由で許されますか?
④ホール内とは、どこまでを指しますか?例えば風除室は店舗外ですか?風除室でお客様を待機させられるか?
⑤嵐の中、退出させられたお客様に飛んできた看板や折れ木に当たって怪我をした時に道義的責任は感じませんか?
⑥従業員が帰れなくなった時のケースを想定していますか?
⑦止むを得ず店舗内宿泊の場合は、どこまで労働時間となりますか?
⑧嵐の中の帰宅で、従業員が嵐による怪我をした場合、会社はどこまでお世話をしますか?
などなど。
危機管理の考え方を今一度検討する機会を話あってみて下さい。
余談になりますが、
以前劇団四季でこのようなことがありました。
台風直撃の予報から、俳優や劇場スタッフの中止を決定しました。
しかし、約1000人のお客様の中には、知らずに劇場に来てしまうケースが出たのです。
当時劇団四季の代表の浅利慶太氏は、嵐の中来場されたお客様のために上演を急遽決めました。
ここまでは良かったのですが、この美談が確か新聞か何かで報道されると、劇団四季に苦情が多数入ります。
苦情の話は長くなるので省略しますが、劇団四季では現在、劇場で公演出来るならば、嵐でも上演します。
その代わり、嵐で来場出来ないお客様には、他の日に振り替える対応を取っています。
了

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