このカーディーに白羽の矢が立ったのは、多角化経営を行っているためだった。
カーディーラーのオーナーは話を聞くテーブルには着いたが、パチンコは全くの門外漢だった。買収となると新たな融資も受けなければならないので、オーナーはメインバンクにも相談した。
銀行はパチンコ市場の調査を開始した。融資する側としては回収できなければ困る。
銀行が出した結論はこうだ。
「買収するホール企業は黒字でも、20~30年のスパンで考えると手を出す案件ではない」とストップがかかった。
IRカジノは国内に3カ所が作られる運びになった。候補地として仙台は挙がっていないが、仮に仙台にできた場合は、「壊滅的にパチンコ客を取られる」というシミュレーションも併せて報告した。
フィーバーブーム以降、他業界からパチンコ業界への参入が相次いだ時期があった。電鉄会社に流通系など大手以外でも、例えば、広い敷地を持っていた鉄工所や、豆腐をメインにしていた食品メーカーがホール経営を始めたケースもある。
パチンコ業界の景気後退と共に、異業種参入組はほとんどが撤退して行った。それだけに、低貸し主体の一番厳しい時期に業界素人が手を出せる業種でもない。
一方のIRカジノは海外オペレーターには日本市場は垂涎の的である。貸し玉料金とはいえ、すでに21兆円というミニギャンブル市場が形成されている。それを取りに行けばいいぐらいに簡単に考えている。
「日本人はテーブルゲームやルーレットに馴染みが薄いので、カジノ版のパチンコ、スロットを作ってパチンコ客を取るでしょうね。政府としてもパチンコに流れるおカネをカジノによって政府の管理下に置きたい。生活保護費でパチンコをさせたくない。パチンコがなくなれば無駄遣いもしなくなる。パチンコ店が減れば依存症も減る。政府はそれを狙って、減らすところまで減らしていきますよ」(自民党関係者)
もはや、パチンコは本来の遊技としてしか生き残る道はないとでも言いたそうだ。
政府の理想はダイナムパークのような姿だろう。出玉は景品と交換して時間を消費する。射幸性が低いのでたいして儲からない。ホール経営のうま味はない。ホール軒数も激減する。その代り、税収はカジノからいただく。
仮に1000円で1時間遊べるようなダイナムパークが業界スタンダードになった場合、40~50万円もする新台価格ではホール経営自体が成り立たない。

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