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大塚家具の混迷とパチンコ業界

高級家具販売の大塚家具が経営方針を巡り、父である会長と娘がある社長が対立して、最終的には会長が会社を追われる形で決着したのが2015年の出来事だった。

会員制で店内にも入りにくい高級路線から脱却して、久美子社長は誰もが入れる店に路線変更に舵を切った。品揃えも高価格帯から中価格帯へシフトしたが、業績は伸び悩み2016年、2017年と2期連続で赤字に転落。中古家具の買取りなどのリユース事業に乗り出すも、業績回復の兆しはない。

都内の某大学の経営学部ゼミでは大塚家具の再生が学生の教材になっている。

「高級家具路線時代の上得意客は中価格帯になったことで一気に離れた。たくさんのお客さんを取ろうとニトリやIKEAに近づいていった。一生ものの家具を扱っていた会社が、引っ越しのたびに捨てるような安い家具を扱っているようなイメージになり、大塚家具のブランドを毀損した。路線変更はまずいと思っていたが、その通りになった。ゼミの学生には大塚家具再生のレポートを書かせています。大塚家具の変遷はパチンコ業界と相通じるところがある」(ゼミ教授)

大塚会長時代の経営がパチンコ業界でいうところの4パチ営業だった。4円という太客に支えられていた。

大塚家具もパチンコ業界も太客だけをターゲットにしていれば、生き残ることはできたかも知れないが、拡大は望めなかった。

一方、立教大学経営学部の有馬賢治教授はビジネスジャーナルで、大塚家具の敗因を次のように分析している。

「マーケティング的には、現代の市場での中価格帯販売は非常に難しいです。過去の日本は、“いつかはクラウン”というキャッチコピーがあった自動車購入のステップアップに見られるように、『大衆車』→『中級車』→『高級車』といった買い替えの慣習がありました。ですが、長期の不況により市場は二極化しています。一般的には大衆的な価格帯に収まる商品が支持され、一部の富裕層に高級品が売れるという構図です。これにより、単に中価格帯の商品群を取り揃えた店舗というだけでは、買う側にそのバリューが伝えづらいのです。また、消費者がニトリやIKEAの価格帯を期待して大塚家具に来店すると、中価格帯の商品を割高に感じてしまいます。そのあたりのイメージのギャップも業績の数字に表れているのではないでしょうか」

久美子社長はパチンコ業界でいうところの2円パチンコを選択したようだ。パチンコ業界でも4円から1円に落ちて行く客の受け皿として、2円パチンコにチャレンジしたホールはいくつもあるが、成功事例をあまり聞かない。低価格か一部の富裕層向けの高価格かの二極化の流れにパチンコ業界も抗うことはできなかった。

混迷を続ける大塚家具はパチンコ業界ともダブルところがあるように、大塚家具の再生がパチンコ業界復活のヒントになるかも知れない。

その意味でも久美子社長には頑張っていただきたい。

と書いていた矢先に身売り話である。

逆にパチンコ業界のM&Aを大塚家具が参考にしたかのような結末を迎えようとしている。


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