隣り合わせになった客は一人が60代、もう一人が40代だった。2人とも喫煙者だった。
60代の客のタバコの吸い方が、まさに煙を汽車のように黙々と吐くタイプだった。あまりにも煙を吐いて、顔にかかってくるので40代が分煙ボードを引き出した。
その行動に60代がいちゃもんを付けると共に実力行使に出た。
「お前もタバコを吸ってるんだから、こんなものいらねえだろう!」と分煙ボードを引っ込めてしまった。
これで大喧嘩が勃発した。
40代が分煙ボードを引き出した理由は、煙の吐き出し方に加え、空調の風向きでもろに40代の顔に煙が来ていたことだ。
一方、60代が分煙ボードを引っ込めた理由は、分煙ボードがあると圧迫感があり、狭くなるのでそれが嫌で引っ込めてしまった。
その堂々巡りが続いた。
しばらくして、店長が駆けつけてきて仲裁に入った。
店長が60代の方から話を聞こうとした。するとこういきり立った。
「なんだと! もう一回同じことを言えと言うのか!」
その時、店長はアルコールの臭いを感じた。
「落ち着いてください。少し飲まれていますね」
「なんだと、てめえ」
少し前、「ホールで酒が飲めたら」というエントリーをアップしたが、90%以上が否定的意見だった。負けている客が酒を飲んでいると余計かっかしてくることを実証するようなできごとだった。
分煙ボードがホールに導入されて以来、この手のトラブルは日常茶飯事的にどこかのホールで起きている。
今回の一件を受けて店長はこう話す。
「分煙ボードがトラブルの元になるのですから、いっそのこと業界全体で早く全面禁煙にして欲しいぐらいです。ホールは堂々とタバコが吸えると思っているお客さんも多いので、なおさら全面禁煙にして欲しいです。ウチだけが率先してやることはオーナーが嫌がるので」
喫煙派が少数になっているにも関わらず、パチンコ業界の禁煙化の腰は重い。新たに喫煙室を設けるためのコストとスペースを確保しなければいけない、という問題がある。それ以上に恐れているのは稼働が下がり、売り上げが下がるということであろう。
これまでの業界の考え方はいかに離席させないで、打ち込ませて稼働を上がるかということばかりに専念してきた。
これからはいかに禁煙者をホールに取り込むかに専念する時代だ。

※コメントには必ずハンドルネームを入れてください。匿名は承認しません。コメントがエントリーになる場合もあります。