「4円の売り上げが1日10万円もない時もある。郊外の小さい店舗を立て直したケースはないでしょうか? あれば教えて欲しい。本当にヤバいんです。逃げ出したいけど従業員のことを考えるとそれもできない」と店長は窮状を訴える。
4円、2円、1円の3パターンで営業していた。4円が壊滅状態なので2円と1円を残したものの、2円も全然客付きはなく、1円の売り上げだけでやっている。
夏場はツーリングのメッカとなるので、トイレ休憩に来たライダーが、用を足した後、古い台を懐かしんで、ちょっと打ってくれることはある。これでどんな立地か、ということが思い浮かんだかと思う。
昔は遊技人口は3000万人もいたので、他の地域のお客さんを奪うこともできたが、その奪う地区すらなくなっているので、お客さんを増やしいようもないのが現状だ。
車が必要な立地に加え、常連客の高齢化も深刻。車を運転できなくなると、一人、二人とだんだん姿を見せなくなってきた。
つまり、顧客そのものがいない場所で営業している。
ホールのアルバイトの時給は780円。人件費は安い。都会の新店では時給1600円でも人が集まらない、というのに。
それでも今のところ、まだ赤字にはなっていない。ただ、このまま高齢化で客がいなくなれば、廃業せざるを得ない状況に陥るのは時間の問題だ。
ある日、店長に常連客から1本の電話が入った。
「店長の車で迎えに来てもらえないか」
これがきっかけで、店長はそのお客さんの送り迎えをするようになったが、他のお客さんの目には「店長とつるんでいる」と映った。
特に玉を出している時は、疑いの目で見られた。
そこで店長が考えたのが、逆転の発想だった。お客さんがいないのであれば、お客さんがいるところへ、こちらが出向く。移動式スーパーの発想で、移動パチンコだ。
移動パチンコトラックは実際にあった。
10トン車を改造して、まだ設置されていないメーカーの新台を試打してもらうことが目的だった。
移動式パチンコでお客さんがたくさんいるスーパーやモールの駐車場で営業する…。
ま、現行の風営法では許可が下りるわけもないことだが。
「1年間、中古も含めて機械を一切買わなかったら、どんなに経営が楽になるか」と店長の本音が覗く。

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