Aさんには大学生の息子さんがいる。その息子さんの友人がホールオーナーの子息だ。
Aさんの息子さんはホールオーナーの子息から「うちの会社に入らないか」と誘われている。オーナーの子息は将来の社長候補で、現在ホールは10店舗の他、飲食店を1店舗運営している。
Aさんも息子さんも共々、この誘いに対して迷っている。
Aさんは経理畑とはいえ、パチンコ業界に身を置いている。今、パチンコ業界がどういう立ち位置にあるかも分かっている。将来性がある業界かといえば、否だ。遊技人口は年々減り続け、成熟産業から斜陽産業の部類に入ってしまっている。
オーナーの子息は、気の合うAさんの息子さんをいたく気に入っている。
「一緒に仕事をしたいので、入ってくれ。俺が会社に入ったら飲食部門も伸ばそうと思っている。1年目から年収は500万円を保証するから入ってくれ」とラブコールを送り続けている。
Aさんの息子さんは人が好きで社交性があり、第一希望は販売の小売業を希望している。
Aさんはホール企業に身を置きながら現場の社員と接することはほとんどないので、最近の大卒の新入社員がどういう志でパチンコ業界に入っているのか、あまり理解していない。むしろ、どういう思いで入って来ているのか、学生たちに直接聞きたいと思っているくらいだ。
Aさんの息子さんが通っている大学は都内の私立大学。東京六大学からはランクは下がる。
「就職先がないのなら、滑り止めで、パチンコ業界でも仕方ない。アウトローのイメージがあるが、弱者には優しい業界」とAさんの心境は複雑に揺れている。
業界の景気は悪くなっているといっても、業績を伸ばし続けているホール企業もあることは事実だ。誘いを受けているホール企業が勝ち組かどうかは店を見れば、あらかた想像は付く。ホームページで社長の人となりを調べるのもいい。
パチンコ業界は斜陽といわれるが、都心で何千万円の家賃を払える業種といえば、まだまだパチンコホールの右に出る業種は見当たらない。
学生がパチンコ業界の魅力を感じるイメージ戦略を業界を挙げて考えることも必要だろう。単純に言えば「ホールで働くことがカッコいい」。依存症問題をクリアすればその道も開ける。

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