「会社がヤバいことは薄々感じていたが、平和とオリンピアの合併のように、倒産しても他のメーカーが救済してくれるぐらいに軽く考えていた。深刻さもさほどなかった。少なくとも自分の様に開発の技術者は残れる、と思っていた…」
民事再生と同時に社員を全員解雇というニュースは、やはり社員が一番衝撃だったことが分かる。青天の霹靂とはまさにこのことだ。
「民事再生と社員の雇用を守るという話は全く別問題で、民事再生法を申請して、社員を解雇しても法的には問題はありません」(弁護士)
日工組メーカーは腐っても日工組メーカーだ。日工組メーカーという金看板はなかなか買えるものではない。要は買いたいところがあるから、破産ではなく民事再生の道を選んだものと思われる。
その場合、看板だけが欲しいのであれば、社員は開発者を含めて不要ということになる。そう考えれば民事再生なのに社員を全員解雇するというのも分からないではない。
「開発でも若い人はまだいいが、30代後半のプログラマーは年寄り扱いですよ。部材や資材関係の部署を担当していた者は転職先がまったくない。私も含めて就職先を探すのに困っています。メーカーも上場大手以外はこれからバタバタ行ってもおかしくないですよ。解雇されて思うことはまだ日銭が入るホールの方が安定している。潰れそうなメーカーはいくつかある」(元開発)
では、ナゼ、民事再生するまでの窮状に陥ったのか?
「ギリギリのラインを狙った機械が全然検定に通らなかった。売れるにはギリギリのラインが求められる。基準内の機械を作っても売れない。開発におカネをかけたにも関わらず、検定が取れなければ資金力のないメーカーはどんどん体力を削がれる。それで一発逆転を狙って、ギリギリのところを攻めたがダメでした」(同)
メーカーはコンスタントにヒット作を生み出して行かないと、駄作を抱き合わせることもできない。それ以前にホールが無駄な経費の削減から機械代を削減していることは、第二のマルホンが出てくることをメーカーも覚悟しなければならない。

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