苦境から逃げ出すために店を売りに出すところもある。ところが、その店を買ったホールが見事に立て直すケースもある。
中には、全国大手がさじを投げて閉店していた店舗を地元の有力ホールが買って繁盛店に再生しているケースだってある。
資金力がなければ再生はできないが、大手が諦めたホールを再生できたということは資金力だけではない、ということである。
この違いは何か?
「劇団員といえば、貧乏なイメージがあるが、劇団四季は創設60年で赤字を出したのは越路吹雪さんが亡くなった時の処理費用で1回しかない。俳優700人、スタッフを含めると1000人を抱えながら続いているのは、浅利慶太というちゃんとした経営者がいるから。それに年間300公演を開催できるのは、舞台というしっかりした商品があるから。パチンコ業界の場合、商品は一緒で違うのは経営者の質だけ」(元店長)
写真はある日の劇団四季の当日券の発売状況だが、東京、大阪、名古屋、札幌の劇場すべてがソールド・アウトである。



同じ演目を何百回も公演しているのに、それでも毎回満席になるのは、その都度新たな感動を売っているから、リピーターになる。若年層にミュージカルをふれてもらうためには、地元の小学生を招いたり、修学旅行生ともタイアップしている。
レジャー産業も商品がしっかりしていて、経営者がしっかりしていれば、不況は関係ない。劇団四季だけでなく、東京ディズニーランド、USJなども好調だ。
そこには導線というインフラがしっかり整備されている。
「パチンコをしたくなるきっかけづくり=導線のインフラを作るのがホールの仕事。例えば500台ある1番台にどうお客さんを付けるかを考える。そう考えると500通りの方法がある。そんなことは面倒だからと一括りにする。1台ずつをどう考えるか。ここに再生のヒントがある」(同)
大金が動く業界だ。それだけに1台ずつをどう考えるか、ということは至極当たり前なことでもある。