確変を引いている時に、急におなかが痛くなってトイレに駆け込んだ。
20分経っても、30分経っても席に戻ってこないので、心配になった女子従業員がトイレへ探しに行った。おばあちゃんはまだ個室にこもっていた。
「大丈夫ですか?」
「下痢して大変なの」
結局、おばあちゃんが席に戻ってきたのは、1時間後だった。1時間も中で座っていたので汗をびっしょりとかいていた。
胃腸が弱く、普段からワカモトを常用していた。この日は水分を余計に取っていたので、腹具合が悪くなったようだ。
その後も下痢は治まらず、確変中のおばあちゃんは自宅へ帰ったきり、ホールへ戻ってこなかった。
2時間半が経ったころ、心配した店長がおばあちゃんの自宅に電話を入れた。
「きょうはちょっと戻れそうもありません」
「玉は今日中に交換しないと無効になります」
「でも、動けません」
そんなやりとりがあって、店長は困った。
従業員が本人になり替わって景品交換することはできない。
一旦電話を切って、知り合いの店長に相談した。
その矢先におばあちゃんの方から電話がかかってきた。
「息子に代わりに行ってもらいますので、よろしくお願いします」
玉を計数すると1万6000発あった。
仕事が終わって店に来たのでは、店が閉店してしまう、ということで息子さんは会社を早退してホールにやってきた。
おばあちゃんの息子さん、と本人確認ができたので、息子さんに景品を渡した。
それで、めでたし、めでたし、となったのだが、店長はこの方法が本当に正しいやり方だったのか、と悩んだ。悩む前に所轄に電話を入れたが、土曜日だったために、担当者は公休日だった。
店長は身内とはいえ、本人以外に景品を渡したことが正しいのか、どうかと悩んだ。もし、これが風営法違反になったら、どうしよう、と。
かつて、こんなケースがあった。
旦那が死亡して約10万円分の貯玉を残していた。それをホールは親族である奥さんに伝えた。ところが、会員システムの規約では本人以外は無効になる、と記されていた。
結果的には弁護士の判断で、旦那さんの財産は相続できる、ということで奥さんの手に渡ったこともある。
「今回のケースは本人が依頼した事実があるので、問題はないと思います。よほど睨まれている店でなければ指導を受けることもないと思います」(行政書士)

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