今の40万円の機械代で1円パチンコがスタンダードになっているホール業界は、まさに値下げ競争で体力を失い、じり貧になっていくパターンだ。
今回はホールの話ではない。
販社にすれば定価販売ができる業界ほど魅力的なものはない。その唯一定価販売ができる業界が実はパチンコ業界なのである。
パチンコ店で提供される景品は、市場価格(定価)で等価交換することが風営法の原則なので、販社からすれば定価販売が守られている非常にありがたい業界である。
逆に市場価格より安く提供すると風営法違反になるぐらいだから、こんな魅力的な業界はない。
景品で業界参入を目論む業者が手本としているのが、ヤクルトである。類似品もあることにはあるが、ヤクルトは競争相手もなく、定価販売を維持している。
そこで、絶対的な自信作を引っ提げて業界に参入しようとした業者がいる。
「美味しくて、ホールにしか置いていないものを開発したが、ことごとく失敗した。無名ブランドだったので見向きもされなかった」
この業者は食べ物での業界参入を図ろうとした。
一時期、行列のできるケーキやパンをホールの従業員がわざわざ並んで買ってきて、それを景品として提供することが流行ったことがある。
限定プレミアム景品として提供していたわけだが、お客さんからも好評だった。ただ、定価で買って来て、等価交換するわけだから、ホールは従業員が動く分赤字になる。
ホールもこれで利益を取る考えは毛頭なく、あくまでも集客の目玉として捉えていた。
美味しい食べ物で参入を図ろうとした業者は、失敗の原因を「試食ができなかったこと。地元では人気の店に焼き菓子を作ってもらったが、食べてもらえないと美味しさは伝わらなかった。しかし、ホールで試食できたら売れるものは一杯ある」と分析している。
スーパーのように試食コーナーがあれば、売れる食品はいくらでもある、ということだ。
全国大手がこのほど、特殊景品の最低単位を全国統一で100円から500円に引き上げることになった。狙いは一般景品でも利益を出すためである。
この500円というところがミソだ。東京の様に1000円以下となると端玉は貯玉に回したりするが、500円以下なら景品に交換することが多くなる。
美味しい食べ物を提供することで、新たな端玉景品市場を開拓することができる可能性を秘めている。

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