時刻は夕方の6時半。あるスーパーの総菜コーナーで、2種類のいなり寿司が写っている。

写真では細かい文字が分かりにくいが、右手のいなり寿司は5個で138円に対して左手は3個で210円で販売されている。
で、問題はどちらがよく売れているかというと、3個で210円のいなり寿司の方に軍配が挙がっている。
「テリが効いていて、味が濃くて美味い」というのが210円を買うお客さんの理由だ。138円の方は、実は夕方で半額セールになった値段になっているのだが、それでも高い方から売れていく。
「まずくはないけど、美味しくない」というのが5個入りの総評。半額になっても売れ残ることがある。
美味しいものは定価でも買うが、美味しくないものは半額になっても買わない。
これは、ホールにも相通じるところがある。
それは「出ない」と文句をいいながらも、そのホールに通う常連客はいる。
それが、ホールの“味”なのだが、その極意が分かっているのが、優秀な店長だ。
東日本大震災で不通になっていた三陸鉄道の北リアス線が全線開通したのは4月のことだった。運転士に「これ食べて」とおにぎりの差し入れがあり、それを涙ながらに頬張るシーンがテレビで流れていた。地元住民に支えられているローカル線ならではの光景だ。
JRや大手私鉄ではあり得ない。
田舎のホールの店長ならこれに近い経験をしているはずだ。例えば、農村地帯なら野菜の差し入れとか。
そういう人間関係が出来上がっているということは、「出なくても、ホールの味があれば、通ってくれる」ということでもある。
出玉には自ずと限界がある。
そのホール独自の味をどうやって作るか、どうやって味を出すかは、すべて店長にかかっている。
では、どうやって味を出すか?
答えは簡単である。
自店に通ってくれるお客さんの気持ちになることだ。自分が客の気持ちになって、第三者の視点でホールをくまなく見渡したらいい。
そこには、数々の問題点も浮き彫りになってくるはずだ。
いなり寿司の話からいささか強引に持ってきたが、「高くても美味しいものは売れる」ということを頭に刻んでほしい。

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