パチンコ日報

ニュースにならないニュースの宝庫 

釘を読む満足感がなくなったことがファン減少の一因

北関東で1店舗しかないホールでの話。



このホールには何十年も前から張り出されている「プロお断り」の張り紙が未だに健在な店舗だ。この張り紙をしたのは、すでに一線を退いている80歳を過ぎた会長が現役で社長をしていたころのものだ。



この張り紙を見たお客さんからプロの意味を聞かれた店長は、返答に窮した。店長が入店する随分以前からものだったからだ。



そこで、店長は会長にプロを断っていた時代の話を聞いてみた。



多少、認知症の毛があるが、古い話は昨日のことのようによく覚えていた。



「朝の開店から並んで、毎日来て、チューリップ台やハネモノを毎日打ち止めにするのがプロ。でも、品行方正な奴は出入りを認めていた」



会長は現役時代は自分でも釘を叩いていた。その頃の話になると顔にだんだん生気が漲ってきた。



「プロの顔は全員覚えている。それだけじゃない。彼が座る台もあらかた予測は付いていたよ。彼らの名前と勝敗を全部ノートに付けていた」と古いノートを引っ張り出してきた。



そこには自分が予測した台に座ったかどうかまでが、事細かく書かれていた。



プロは当然、釘を見て台を選ぶ。



この時、釘でプロとの駆け引きが始まる。



ハネモノはスタート1とスタート2があるが、そこを開けているように見せかけて、実は開いていない、という高等テクニックを使いながら、そういう台に座ると、「ざまあみやがれ!」と心の中で叫んだ。



当時の釘は2~3時間で終了するのか、それとも5~6時間遊んで、トントンか、というような微妙な調整もした。



当時は、釘でお客さんと駆け引きする技術を持っている釘師がいた。今のハネモノはラウンド抽選になって釘の技術を活かすこともできないが、それ以前にハネモノを叩ける人も少ない。



「釘を叩くときは、いつもお客さんの顔を思い浮かべながら叩いたもんさ。今日はあの人に勝たせてあげよう、と。そういう台にそのお客さんが座って、打ち止めにすると、お客さんも『俺の釘を見る目が良かった』と打ち止めただけでなく、さらに自分の眼力にも満足する。1万円使って、8000円取り戻せたら、やはり自分の釘を見る目があった、と満足する。今の機械は、すべて運。そういう自己実現の満足感がないから、ファンが減る」と苦言を呈する。



セブン機一辺倒になってそういう駆け引きもなくなった。



もっとも、今では釘調整は無承認変更、と警察が声高に叫ぶようになり、釘の醍醐味を語ることもできない風潮になっている。





人気ブログランキングへあなたのポチっ♪が業界を変える





※コメントには必ずハンドルネームを入れてください。コメントがエントリーになる場合もあります。