経済産業省並びに環境省は、地球温暖化対策として自然冷媒を使った空調機の導入を支援している。
オゾン層を破壊するフロンガスと違って、自然冷媒ガスは、環境負荷の少ない冷媒ガスで、これらは元々自然界に存在するアンモニア・水・二酸化炭素・炭化水素・空気等を用いるため「自然冷媒」と呼ばれるようになった。地球温暖化防止が人類にとって非常に重要な世界的課題である今、自然冷媒への転換が急務になっていることは事実でもある。
実際、自然冷媒ガスを使った自販機や冷蔵庫も一部あるが、国内に設置されているエアコンは、現在のところフロンガス用で、自然冷媒ガスに対応してはいない。
この支援文句を逆手にとって、経産省並びに環境省が、あたかも自然冷媒ガスへの入れ替えを指導しているかのように偽って、自然冷媒ガスを充てんする営業活動がパチンコ業界内でも横行し始めている。
業者のセールストークは、自然冷媒ガスに入れ替えると、コンプレッサーの圧力を半分に下げることができるので、最大でエアコンの電気代が50%も下がり、なおかつ、エコ活動にもつながる、というもの。
費用は500台クラスのホールで1000万円、と決して安くはない値段だ。東電管内は福島の原発事故の補償問題もあり、他の電力会社よりも高く、電気代を下げることは切実な問題で、そこに業者がつけ込んでいるようだ。
自然冷媒ガスに対応している機器なら、実際にそのような効果は期待できるのだが、残念ながら対応していない。
フロンガス用に自然冷媒ガスを充てんしてしまうと、コンプレッサーはそのガスには対応していないので、圧力が上がらず、コンプレッサーが回り続けるために、かえって電気代が高くなった、というケースが報告されている。
東京のホールでは自然冷媒ガスに入れ替えてトラブルになり、裁判になったケースもある。
こうした詐欺まがいの事件を受けて、経済産業省並びに環境省は、7月11日付で、ホームページ上に次のように注意喚起を促している。
最近、「経産省・環境省の指示により、エアコンに使用されているフロン類の入れ替えが必要だ。当社のホームページは経産省・環境省のホームページとのリンクもあり、信用できる企業だ。」として、現在お使いのエアーコンディショナーに充填されているフロン類の入れ替えを勧誘する事例があるとの情報がありました。
経産省・環境省として、現在使用されているエアーコンディショナーに冷媒として充填されているフロン類を、フロン類以外のものに入れ替えるよう指示していることはありません。また、このような勧誘を行う企業は、経産省・環境省との関係は一切ありませんので、 ご注意ください。
フロン類の一種(HCFC)(※1)については、オゾン層保護法(※2)に基づき平成32(2020)年までにその生産及び消費を全廃することとされていますが、これは、現在使用されているエアーコンディショナーに冷媒として充填されているフロン類を、平成32(2020)年までにフロン類以外のものに入れ替えるように規制するものではありません。
また、来年度施行予定の改正フロン法(※3)については、業務用冷凍冷蔵・空調機器の管理者に対し、冷媒フロン類の漏えい防止等の管理の適正化等を求めていますが、これは現在使用されているエアーコンディショナーに冷媒として充填されているフロン類を、フロン類以外のものに入れ替える、又は当該機器を取り替えるように規制するものではありません。
※1 HCFC:ハイドロクロロフルオロカーボン
※2 オゾン法保護法:特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律(昭和63年法律第53号)
※3 改正フロン法:フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(平成13年法律第64号)
※ 環境省においても同様の注意喚起を行っております。
「アンモニア系は有毒ガスで、プロパン系は可燃性が高く漏れたら発火する。パッケージエアコンはガスも含めて絶対改造したらダメです。何かをいじれば、全部をいじることになり、結果的には節電もできなくなります」(空調メーカー関係者)と警鐘を鳴らす。
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自然冷媒詐欺にご注意
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