■講師:キャリアチアーズ代表取締役 山口しのぶ
ほめる目的は、業績を上げるためにある。
ほめるとおだてるは違う。ほめるとは、成長度合いを見て具体的に指摘することで、おだてても人は成長しない。
ほめることは、経費削減につながり、売り上げアップにつながる。
ほめて人が育てば、未戦力賃金=戦力になるまでに辞めた人に対して支払った賃金を削減し、辞めさせずに戦力にすることで、採用コストの削減ができる。
次に、ほめて人が育てば戦力化(固定客の確保)し、離職率が低下するので売り上げアップにもつながっていく。
リーマンショック直後は、1回募集すれば10~20人は面接に来た。アルバイト1人の採用コストは3~4万円だったが、2020年までは右肩上がりで求人が増えているので、今、関東では20万円ぐらいに跳ね上がっている。正社員なら100万円のコストになっている。
アルバイトが1日も持たず、ランチグッバイ、という現象も起こっている。
辞めさせずに、育てて、業績、稼働を上げられる戦力にすることが、採用コストを下げることでもある。
店長の役割とは次の通りだ。
①売り上げの最大化
②顧客の創造
③人材育成
④ブランディング
店は人によって運用されていて、①~④はすべて人が関わっていることで、人が大事であることが分かる。
10年前はCS(顧客満足)だったが、今はPS(個客満足)の時代へ移行している。つまり、一人ひとりのお客さんにあったサービスが必要な時代になっている。個客にあったサービスを提供するためにも従業員満足が必要になってくる。
ほめて伸ばす。
ほめられると記憶に止まり、学んだことが忘れにくくなる。それによって成績が上がることは、科学的にも実証されている。
人の記憶力とは嬉しかった昔のことは覚えている。感情が動くので記憶している。ほめることによって感情を揺るがす。ただし、相手がほめられていることを認識していないと覚えられない。
おだては、「はいはい、またか」と覚えない。
ほめる時代背景に消費者の行動パターンがAIDMA(アイドマ)理論から、今はAICEAS(アイシーズ)理論に変わったたことが挙げられる。
インターネット時代になって消費者の行動パターンに検索、比較、検討が加わった。
例えば、「あの会社は働きにくい」というのが口コミで伝わったのがアイドマ世代だとすれば、今はSNSで日本中に一気に広まる。ネットでは会社の悪口が実名で書かれている。バイトや就活ではそういうサイトを参考にするので、従業員から不満がでないようにするためにも、ほめることが必要になる。
ほめることは分かってきたと思うが、では、どこをほめるか? その焦点がポイントになる。
ズバリ、ほめるポイントとは売り上げにつながる行動をした時だ。
人間の目は、自分の目で見たところしか見えていない。となると、「あれもできていない」「これもできていない」とほめるところがないように思えるが、違う角度から見れば、見えていないところがたくさんある。
人間は成長する動物なので、必ずほめる場所はある。日々の成長の0.01は目には見えない。1年後にはそれが1.2の成長になる。この目には見えない成長に焦点を当ててほめることだ。
ほめる時は、具体的に何がどうすごいのかをほめること。
ほめると叱るの割合は5:1。叱る時も今はできていないから叱るけど、期待しているよ、という気持ちで叱らなければならない。
ただ闇雲にほめるのではなく、ほめる基準(ロジックツリー)作りが必要になる。
ほめる項目は売り上げアップにつながることやお客さんのためになることをした時だ。売り上げを上げるためには客数を増やすか、客単価を上がるの2つの要素がある。
客数を増やすにはリピーターになってもらうことも重要な要素で、リピーターになってもらうための、決め手を全部書きだす。この行動が再来店につながり売り上げが上がっていく。
成長の度合いは人によって違う。できていないからといって叱ってはいけない。できていることをほめてできることを増やしていく。
成長を可視化するために「ほめシート」を作成してほめる。
ほめシートで毎日できたかできなかったかをチェックする。
できるようになるとほめてもらいたいために、アピールしたり報告したりするようになる。
考え方が変われば、行動が変わり、最後は人生が変わる。
ほめられるという経験を積むと自然と考え方が自発的になる。
この教育を取り入れたホール企業は、以前は入社3年以内に70%が辞めていたが、2%に激減した。未戦力費を大幅に削減することにも成功した。

※コメントには必ずハンドルネームを入れてください。コメントがエントリーになる場合もあります。