私の本職は飲食業のコンサルタントであり、パチンコ業界に関しては門外漢である。しかし、現在のホールの状況を見ていて思うところがある。
飲食業界では、初めて訪れた店の味が不味いと感じた場合、二度と足を運ばないという人が少なくない。特に現代では、食べログのような評価サイトが普及しており、事前に評判を調べることが可能である。点数や口コミの内容を参考にしながら店選びをするのが一般的になっている。しかし、パチンコ業界にはそのような客観的な指標が存在しない。
仮にパチンコ店の評価サイトがあったとしても、基本的に負ける客のほうが多いため、口コミの多くは低評価になる可能性が高い。これは飲食業界と異なり、パチンコにおいては「美味しい・不味い」という単純な基準で評価できないためである。飲食店は味が一度で分かるが、パチンコ店の評価はその日の勝ち負けによって大きく左右されてしまう。
食べログは採点方式が厳密で、恣意的に評価を上げたり、極端に低い点数をつけたりすることが難しくなっている。そのため、口コミの信頼性が高く、利用者にとって有益な情報となる。例えば、3.5以上の評価がついている店は一定の満足度を保証されているといえる。
このシステムの最大の利点は、点数が低い店であっても、改善点を把握し、対策を講じることで評価を向上させられる点にある。飲食店側にとっても、点数が上がることで新規客の獲得につながるため、双方向にメリットがある仕組みといえる。
では、飲食業界において低評価の店を立て直す際にどのような手法が用いられているのか。
多くの場合、まず店名を変更して刷新感を出す、あるいは大改装を行い、外観や内装を一新することで「入ってみよう」と思わせる工夫を施す。そして、実際に味が改善されていれば、リピーターが増え、繁盛店へと成長していく。
この手法はかつてテレビ東京で放送されていた「愛の貧乏脱出作戦」にも見られた。番組では、経営が傾いた飲食店の店主を有名店の達人のもとで修行させ、認められた者には店舗の外装や内装のリフォームを施すという形式を取っていた。結果として、立て直しに成功した店も少なくなかった。
では、パチンコ業界ではどうだったのか。
かつてのパチンコ業界では、客足が遠のいてきた際には「新装開店」を行うのが一般的だった。夕方オープンの形で新台を大量に導入し、新台はバカ出しし、それ以外の台も釘を開けて出玉感を演出する。この手法によって、客は「この店は出る」と認識し、次回以降の来店につながった。もちろん、その後は徐々に釘を閉めて利益を確保するが、最低でも1カ月程度のスパンで調整が行われていた。
しかし、現在はわずか数台の入れ替えでも「新装開店」と銘打ち、新台導入の初日から回収に走る店舗が目立つ。これを繰り返しているうちに、客は「新装開店でも出ない」と見限り、業界全体の衰退を招いている。
現在のパチンコ業界は、集客を新台の善し悪しに依存しすぎている。特に、射幸性の高い機械を導入することでギャンブラー層を引き寄せているに過ぎず、本来の娯楽としてのパチンコの姿とはかけ離れてしまった。このままでは業界の先行きは明るくない。
では、業界を立て直すためには何が必要なのか。根本的な部分からの改革が不可欠である。
ひとつの方法として、「換金率の低下」が挙げられる。等価交換ではなく低価換金でも遊んでくれるのが本来の客層だ。1パチでも等価では回らない不満がある。
たとえば、中華料理チェーンの日高屋の成功の秘訣は「美味しさの追求」ではなく、「何回食べても飽きない味の追求」だ。この考え方をパチンコ業界に当てはめるならば、「等価交換ではなく低価交換で毎日遊んでも懐に優しい遊技環境の追求」となる。
飲食業界のように、客が継続的に訪れたくなる仕組みを構築することこそが、業界の未来を示唆する。
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