かつて3000万人を超えていた遊技人口はいまや600万人台にまで縮小し、ホール数もピーク時の半分以下に減っている。そんななか巨大な合法カジノが大阪湾岸に誕生すれば、残された客層をさらに奪われかねない。業界関係者にとって大阪IRは、まさに“黒船”の到来に等しい存在だ。
そこで浮上しているのが「大阪パチンコ特区構想」である。カジノに流れる遊技客を引き留めるため、貸し玉料金を現行の4円パチンコから倍以上に引き上げる案や、現行の10カウント規制を20カウントに緩和する案などが特区構想の中身だ。
つまりカジノにも負けない射幸性で、パチンコ本来の魅力である「出玉感」で再び勝負する狙いだ。業界の論理からすれば当然の動きだが、依存症対策を掲げる国の規制強化の流れとは逆行するため、特区構想実現にハードルは限りなく高い。
大阪IRはすでに建設が進んでおり、もはや止めることはできない。ただし、大阪の次に大本命と目されているのが東京IRだ。首都圏という巨大市場を背景に、海外カジノで実績を持つサミーやユニバーサルといった企業が、運営オペレーターとしての参入を図りたいところだろう。
もし東京にIRが誕生すれば、パチンコ業界への影響は大阪以上になると警戒されている。
実は、東京IRの芽を事前に摘もうと暗躍しているのが首都圏の有力ホール企業連合だ。
過去を振り返れば、横浜市長選においてIR反対派の候補が当選し、計画そのものが白紙撤回となった経緯がある。
都民もカジノには反発が強いため、東京でも都知事選でIR推進派が立候補すれば落選する可能性が高いと見られている。こうした状況を踏まえ、すでに一部のホール企業がIR反対派の大物議員に政治献金を行い、東京でのカジノ誘致を水際で阻止しようとしているという情報もある。
大阪IRが開業したとき、果たして大阪のパチンコ地図がどのように塗り替えられるのか。それは誰にも予測できない。
ただ一つ言えるのは、カジノを敵視しているだけでは業界の未来は開けないということだ。
規制緩和をテコにさらに射幸性を突っ走るのか、それとも若年層やシニア層に向けた娯楽として新たな価値を打ち出すのか。
いずれにしても「IRとの共存」を模索する視点がなければ、業界そのものが存続の危機に立たされるだろう。
大阪IRも東京IRも、蓋を開けてみるまではどうなるか分からない。しかし確実に言えるのは、パチンコ業界にとってその影響は避けられず、残された時間はそう多くないという厳しい現実である。
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