パチンコ日報

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接客調査とは違う営業能力調査で競合店に打ち勝つ

中華チェーンの日高屋はマクドナルドの近くに出店することで有名だ。日本一のリサーチ力を駆使して出店しているマクドナルドの近くなら採算性は保証されているようなもの。駅の乗降客数や人の流れ、家賃相場などを踏まえながら、店が採算に乗るかどうかを自前で市場調査するコストと時間を省くためである。俗にコバンザメ商法とも言われている。

パチンコ業界とてそれは例外ではない。確実に流行っているホールの近くに出店して、そこの客を奪う方が、ゼロから市場を開拓するより手っ取り早い。日高屋同様に市場調査コストと時間も省ける、という訳だ。

自店の基幹店に強豪大型店が出店してきた場合、どう対策を立てればいいのだろうか?

前出の飲食業界の場合は、毎日同じものを食べていると飽きるので、中華とハンバーガーは共存共栄できるが、パチンコホールの場合は、遊技人口が減り続けている中、共存共栄とはならない。勝つか、負けるかの戦いになる。

利益を生む基幹店から利益が取れなくなれば、10店舗未満のチェーン店では、たちまち窮地に立たされてしまう。

「出店してくるライバル店の強みと弱みなどを詳細に把握すると共に、自店の強みと弱みも炙り出し、自店の強みは強化して、弱みは潰していく。しかも、地域一番店ではなく、全国トップクラスを目指さないと今後は生き残れません。7~8店舗以下でエリア長が存在しないホールでは、そういうことをチェックする役職がいないケースもあります」と話すのはアミューズファクトリーの宮川雄一社長。

ライバル店の競合対策だけでなく、自店が新規出店やリニューアルオープンするにしても集客につながるものでなければ意味がない。特にチェック体制が機能していないケースでは、自店の営業能力を第三者の目で調査することが成功に向けての一歩となる。

同社が提供する営業能力調査サービスは本来800項目以上あるものを、より多くのホール企業が利用しやすいように簡易版として200項目に絞り、第三者の目で調査する。

業界の覆面調査は接客やクリンネスに特化したものが多く、営業上必要な項目はなかったが、それが網羅されているのが特徴だ。

200項目にわたる調査で「できている」、「できていない」をダメ出しするのではなく、競合店に打ち勝ち、全国レベルの店に作り上げていくことを目的としている。

チェックしたものをフィードバックし、PDCAのサイクルに落とし込み、店のレベルアップ、業績向上を図る。ノウハウを共有できたり、新任店長の教育にもつながる。

ホール管理者が「自店と競合店をリサーチする際にどのような項目を見ているか」という問いに対し、どれだけ明確に答えられるだろうか? 例えば、自社に8店舗あれば8人の店長それぞれの答えがあったりする。それはリサーチ力にムラがあるということを意味する。

しかし、強いといわれるホールは何百項目にもわたる調査を「企業」として取り組んでいる。リサーチ力にムラを出さず、詳細にしっかりやっている。その差が稼働に表れている、といっても過言ではない。

ホール規模の大小を問わず、複数店舗展開しているのであれば、それは変えてはならないことだ。

ホール経営はある意味負け客によって成り立っているわけだが、稼働を上げるには重要な視点がある。

「負けたお客様の対応をリピート率を上げるために意識的にコミュニケーションを取っているか、ということです。営業力を強くするということは、固定化ファンを作ることでもあり、強豪が出店しても揺るぎません」(宮川社長)

強いチェーン店と戦うためには、これまで欠けていた調査から始めなければ何事も進まない。

即効性のある営業能力調査の問い合わせはパック・エックス イノベーションまで。


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カジノ解禁後の業界の懸念材料

カジノ解禁によってパチンコ業界はどのような影響を受けるのか? メーカーの営業所長が顧客先で今後の懸念材料について語り始めた。

「パチンコは1分間で使える上限金額は400円。1時間でも2万4000円が上限。公営ギャンブルは1回の賭け金額は青天井なのに、ギャンブル依存症対策ではパチンコ業界ばかりが叩かれるのは解せない」と憤慨した後で、こう話をつづけた。

「一番懸念されるのは3店方式の禁止よりも確変の禁止。ギャンブル依存症対策で言うなら確変禁止の方が可能性が高い」

そして、こう順番をつけた。

①確変の禁止
②3店方式の厳格化
③特殊景品の廃止

依存症対策の一環として、確変を禁止することについては日報でも何度も取り上げている。

確変は警察庁が肝いりでスタートさせたプリペイドカードシステムの導入が遅々として進まなかったことに対して、促進の切り札として、CR機に限り射幸性をそそる確変を警察庁が認めた背景がある。

「警察は自分たちの非を認めない組織なので、1回認めたものは禁止しません。確変を禁止したら自分たちの非を認めることであり、それは確変を認めた先輩の顔に泥を塗ることになる」(サツ回り記者)という見方もある。

②の3店方式については、パチンコ業界の生命線だ。ここを止められたらパチンコ業界は一巻の終わりだ。カジノ解禁後に3店方式に規制がかかるかどうかを業界としては一番知りたいところだ。

政界を引退した警察官僚出身の元議員の下には、未だにメーカー、ホールの両方向から情報収集に訪れている、という。現職議員もいるが、新たな業界の窓口となる議員を二階派から作る動きもある。

次の参院選に当選することが前提条件だが、旧民主党関係者は当該人物の人となりをこう評す。

「参議院を2期務めただけ。力をつけるまで、10年、15年はかかるんじゃないでしょうか。中途半端で何に強いというものもなかった。やはり、警察官僚出身で警察に強い先生じゃないと生の情報は入ってきません」

メーカーの所長は③についてこう持論を展開する。

「特殊景品という呼び方が問題。今からでも遅くないので、業界は特殊景品という呼び方をやめた方がいい。『何が特殊なのか?』と突っ込まれた時に業界は何と答えるのか? 換金を前提にしているから特殊だと答えるつもりなのか?」

特殊景品も3店方式の絡みで派生してくるものだ。言うまでもなく、グレーと言われている3店方式を合法化しない限り、パチンコ業界の安寧はない。玉石混交では合法化できないので、きちんとしたホール企業が残るまで、その選別を規制によって行っている、ということだろうか。



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ホール跡地にスーパー銭湯

ホールの老朽化に伴い、建て替えが迫っている物件がある。オーナーは業界の現状を勘案して建て替えは断念した。低貸し主体の営業ではとても採算性が合わなかった。

オーナーにはまだ資金力はあった。ホールの建て替えの代替え案として、白羽の矢を立てたのが温浴施設だった。温泉掘削会社に調査費用として1000万円を投じた。

「熱い温泉を掘り当てたら燃料代もかからない」とホールの跡地スパリゾートを建設して従業員の雇用も確保する予定だ。

ということでホール企業と温浴事業について改めて振り返ってみた。

パチンコ業界と温浴施設経営の歴史は古く、1984年12月には名古屋のホール企業が薬湯をベースにした「中部健康センター七宝」をオープンさせている。筆者も業界誌記者時代に体験したことがある。入浴すると粘膜がピリピリするのをウリにしていた。

第二次ブームは1990年代半ばから2000年代にかけて。ホールの財政には十分な余力があり、新規事業としてスーパー銭湯経営に乗り出すホール企業が相次いだ。業界誌でもその特集が企画された。

その後2010年代に入ると、再びホール企業の温浴施設経営に参入が始まった。

「パチンコ」「温浴施設」で検索すると次のホール企業がヒットした。

・公楽「気仙沼ほっこり湯」
・オアシスグループ「君津の湯」
・ジャパンニューアルファ「湯花楽」
・ジョイパックレジャー「竹取の湯」
・HIROKIグループ「スパ&ホテル 和」
・プレイランドキャッスル「湯の城」
・コロナワールド「天然温泉コロナの湯」
・晃商「伊賀の湯」
・平川商事「奈良健康ランド」
・延田興業「延羽の湯」
・八城観光「神州温泉あるごの湯」
・ノヴィル「あらたえの湯」
・一富士興業「スーパー銭湯ゆらら」

では、実際温浴施設を作るにはどれぐらいかかるのか?
まず、掘削業者にかかる費用は次の4つ。

1.温泉が出るかどうかの調査費用
2.温泉を掘る許可をもらうための手続き費用
3.掘り当てた温泉をくみ上げるポンプの費用
4.掘削するための費用

1~2までは1000万円以内で収まるが、問題は3~4だ。

日本はどこを掘っても温泉が出る、といわれているが水脈を当てるまでに何メートル掘るかによって変わってくる。一般的な相場は1メートル掘るのに10万円かかる。1000メートル掘れば1億円はかかるが、業者によっては調査費やポンプ費用を込みで1億円以内で受けるところもある。

温泉を掘り当てた後は、建物の建築費や家具什器の備品が必要になる。300坪クラスなら上物で3億5000万円。

スーパー銭湯の入浴料は500円~1000円。客単価800円として、1日1000人が訪れれば1日の売り上げは80万円。年間約3億円の売り上げに対して、利益は3割弱の8000万円。初期投資4億5000万円を5年ほどでペイするのが温浴ビジネスである。

ところが、競争が始まると客の滞在時間を延ばそうと休憩・仮眠スペースの拡張や飲食施設のフルサービスへの転換を図った。ここ数年では平均で敷地面積2500坪、延床面積750坪程度にまで拡大し、パチンコホール同様に大型化により投資額も10億円、15億円とうなぎのぼりだ。投資回収も8~10年へと伸びている。

10年経った頃には設備の改修も必要になってくる。



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スタッフのシグナルを見落とさなければ離職率は下がる

3月15日、大阪・梅田で開催されて「社会におけるパチンコ店の役割を考える集い」(シナジーアーク、パチンコ日報共催)より。

講師:河合文徳(店長)
テーマ:「自分が業界で頑張る理由と従業員が離職しなかった理由」



会社には①人材、②人員、③人財の3種類の人が働いている。

人材とは指示ざれたことを70~80%しかこなせないアルバイトや新人社員。人員とは100%こなせるアルバイトリーターや社員。人財とは100%以上の+αができる役職者。+αが大きくなれば役職も上がっていく。

つまり、人財集団になれば会社は良くなるが、離職率を下げなければ役職者も育たない。そのためには頑張ったら評価されるいいチーム作りが必要になる。

スタッフは急には辞めない。辞めるまでにはいくつかのプロセスがある。その過程でシグナルやSOSを出している。

お願い事をしても「しんどい」とか「忙しい」とレスポンスが遅くなる。スタッフ間同士でもコミュニケーションを取らなくなる。身だしなみに乱れが出る。

こうしたサインを見落とすといきなり「辞めさせてください」となる。その時の辞める意思は固まっているので引き留めても遅い。

シグナルがあった時点で問題点を潰していけば離職率は下がる。

おはようの声掛けで下を向いて返事するようなスタッフにはすぐに「どうした? 何かあったのか」と面談する。朝礼、終礼でも顔の表情を見て声を掛ける。

「どうしたの?」と一言声を掛けるだけで、「自分のことを見てくれている」と印象も変わる。

会員募集やコーヒー販売、サービス向上のアイデアなどで成果を出したスタッフは手作りの表彰状で褒める。「ありがとう」を形にすることでスタッフのモチベーションが上がる。

私が若いころ320台のホールに店長として着任した時、1人でホール業務を全部こなせる自信があったので、できないスタッフには厳しく指導して、できないのなら辞めろ、というタイプだった。

ところが1000台クラスのホールの店長になった時は、さすがに1人では回せない。社員は20名、アルバイトは100名もいる規模で、スタッフの名前も分からない。

グランドオープンの前日、水巻に2時間もかかって帰ってこないアルバイトスタッフがいた。そのアルバイトスタッフが、店が落ち着いたころ「ディズニーランドに行くので1カ月休ませてくれ」と非常識なことを言ってきた。

「数を揃えたらいいのか?」ということになり、彼は早番と遅番を通しでやったり、早番と遅番を集めてそれぞれのシフトを聞きながらシフトを組み始めた。朝、アルバイトからジャンジャン当日欠勤の電話が鳴るような環境だったが、仲間から「休むな」と言われれば休みにくくなる。任すことによってシフトを守るようになった。

人を使うことの本当の意味が分かった。

古いタイプの主任はほぼ通しで働き、仕事を一人で抱え込んだりする。抱え込まないで任せないと下は育たない。

パチンコは現金商売なのですぐに結果が求められるが、1年もやれば育つ。そのためには上の忍耐が必要になる。



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業界の岩盤規制と既得権の解体

「業界価格が下がらないのは業界が抱える構造的問題にある」と指摘するのは業界一家言氏だ。この構造的問題とはズバリ余計な組織・団体が増えたことを指す。

「中古機を移動するにも指定販社を使え、機械を運ぶにも指定運送業者を使え、ということは登録している会社しか遊技機を扱えない。それはそれで既得権となり、自由経済が阻害されている。つまり、これがパチンコ業界の岩盤規制になっている。組合側の人におカネを落とさなければならないからモノの値段が下がらない!」と憤る。

それは言い換えると不正防止、健全化のコストともいえる。CR機が登場してから遊技機販売業者登録制度、遊技機取扱主任者制度、回胴遊商などが生まれる。

風営法はパチンコ営業を営む者に対する法律であって、販売業者は風営法で縛られることはない。そのことが逆に流通段階での不正を生む温床ともなった。流通過程での不正を防止するために、前出の制度や団体が生まれたが、残念ながら万全と言える体制ではない。

2013年に起こったスロットの不正サブ基板改造事件では、運送途中に基板が替えられたとして運送会社をスケープゴートに、事件は幕引きとなった。

不正基板は回路やプログラムが分からないと作れない。ましてやおカネもかかることで、運送会社や営業マン、ゴト師が作れるレベルのモノでもない。主犯格の捜査をするでもなく、事件はうやむやで終わった。

ホールが一切不正をしない、メーカーが一切不正をしない、となれば本来は中間業者は登録制にする必要もないし、自由競争させるものである。

業界の構造的問題は、業界が右肩上がりの時なら気にもならなかった。

確変が認められたCR機の登場で、射幸性がパワーアップし、それに伴って売り上げも上がった。ホールの売り上げが上がれば、メーカーだってその流れに乗り遅れまいと機械代を上げて行った。

ところが、射幸性を抑える規制の連続で、機械代は高騰したままで、遊技機の出玉性能は衰えるばかりである。とても回収できる性能ではない。この乖離がボディーブローのように効いてきたのが今である。

かつては高収益がパチンコ経営の最大の魅力だったが、繁華街でテナント契約で入っていたホールが契約更新で、ドラッグストアが提示する家賃に負ける時代になってしまった。

「業界衰退原因が釘を閉めるホールが悪い、高い機械を売るメーカーが悪いと罵り合っている場合ではない。設備投資に見合った回収ができなくなった原因を探るために、岩盤規制で不要な組織を解体することから始めてみること」(同)

はて、さてそんなことができるとも思えないが、岩盤規制と既得権を解体すれば違った未来が開ける?




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