第5回で最終回です。
●換金を連想させる交換率や特殊景品など、風適法上相応しくないとされる言葉の使用は出来るだけ避けましょう。
●低原価率、出玉率100%超のかつての様な営業スタイルは『貯玉手数料ナシ』や(持玉共有を可能とする)設備の問題もあり、実施は困難です。
●警察行政が問題視せずにファンの支持を継続する取組は還元率などの『情報公開』です。
以上が前回までのダイジェストです。
過去回を詳しく知りたい方はカテゴリー《ヤンキーパンダ》にお進みください。
最近会ったホールオーナーさんや幹部の方々は異口同音に「儲からなくなった。儲かるからパチンコを経営していたのに意味がない」とおっしゃる。
中には「パチンコは出ているように見せるのが肝要。つまり、店長の『腕の見せ所』は出ているように見せる事。これまでキミがパチンコ日報で説明してきた還元率をありのまま公開するなんて、パチンコ業の得意技を捨てる行為。出来る訳ないよ」とおっしゃる方もいました。
「儲かるからパチンコをしている」と儲けの手段としてパチンコを選ぶこと、それ自体を否定する気はありません。
ただ、現在はパチンコの経営環境が以前より厳しくなる衰退期ですから、上述の様な考えの経営者は余裕がある内に撤退し、他業種にシフトした方が良いかと…
片や利益が減ってもパチンコ業にこだわり、ステークホルダーを大切にできるホールもあります。今はそんなホールだけが残る絶好の機会でもあると考えます。
では本題。
▼情報公開の手法
ピーワールドなどのホール情報サイトなどに月ごとの還元率、原価率、出玉率などの営業実績を掲載します。掲載は日ごとではなく月ごと。予定ではなく実績です。つまり、12月なら11月の結果を掲載するということです。
「実績の掲載」に関し、不安を覚える方がいらっしゃるかもしれませんが、実績の告知というのは、ステークホルダーへの月次決算報告、事実の告知として位置付けられます。よって、事実の告知のみで煽り言葉や勇ましい言葉は一切不要です。風適法に抵触する様な文言は一切排除します。客観的な数字を見て、お客様の店舗選びに役立て頂きます。
そして、この情報はホール内告知も重要です。ネットリテラシーが不十分な高齢者にはホール内告知しか見ない方々が多くいらっしゃいます。スタッフが高齢者を中心に還元率などの実績を掲載する目的を用語の意味も含めて直接、口頭説明した方が尚良いでしょう。
何を伝えるのかさえ共有できればマニュアルではない属人的な方法による説明で構いません。と言うのも、不特定多数のお客様と向き合う場合は臨機応変さが求められるからです。
中にはそっとして欲しいお客様も居られ、そう言うお客様を瞬時に見抜き、ガイドブックを手渡し、あとは見守るだけで済ますのも熟練の技です。
▼重要なマンパワー
前段で示した今回提案したい「営業実績の情報公開」はインターネットだけでなく、従業員も含めた店内告知も必要と考えます。つまり、従業員が担う部分が大きい、言い換えれば、マンパワーが重要だということです。
パチンコ業は装置産業の側面があるものの一方でお客様と向き合い、寄り添う事に知識と経験が要求される職種です。計数管理能力も大切ですが、お客様と向き合い寄り添う能力も、今まで以上に重視すべきです。その能力に年齢や性別は関係ありません。
その従業員に関しては、現在、全日遊連が熱心に進めている「安心パチンコ・パチスロアドバイザー制度」では、「のめり込み抑止」や「パチンコ初心者へのパチンコの楽しさの普及」などを目的に店舗スタッフを対象に講習を実施しています。
この「のめりこみ対策」は、一律のポスターやネット媒体だけのお知らせだけでは不十分であり、従業員の活躍が不可欠です。アドバイザー制度が名実共に機能するには、従業員がお客様に寄り添い向き合う事が肝要です。そのためにも、臨機応変な対応ができる質の高い従業員の確保が求められます。
昨今の人材不足を踏まえれば、従来通りの労働条件で、上記の様な対応力の高いスタッフを確保するのは困難ですし、また、「のめりこみ対策」の一環としても、待遇改善は検討課題でしょう。
具体的に言えば、アルバイトなら最低賃金の2倍、最低賃金全国平均が874円なので1748円を出すことも検討しないといけないでしょう。
ちなみに最低賃金が500円の時代に倍の1000円出していたホールは多くありました。
新規則施行に伴いこの先約2年で遊技台を全て入れ替える必要があり、経費の上昇は待ったなしです。ホールの皆様にとっては、そんな最中に「時給を上げろ」などという無理難題を言っているように聞こえるかもしれませんが、茨の道を歩む覚悟や、その先にある姿のイメージがないホール運営はますます困難になると思います。
▼損益分岐12割、30玉6枚の可能性
私は10.2割分岐(原価率98%、25.5玉、5.1枚)を推奨します。
理由は次の通りです。
・利益調整する幅が少ないことから、お客様の都合を考えない粗利重視営業がやり難く、結果、お客様の財布を傷めないことに繋がる。
・再プレイと貸玉プレイの 不公平が少ない。
・10割分岐は廉売で独禁法に抵触する可能性があるため。
しかし、次の条件を満たすなら12割分岐(原価率83.3%、一物一価30玉、6枚)もあり得ると考えます。
・再プレイの廃止。
・スロットは定量制などの実施。
・全店期間出玉率は100%以上。
低原価率時の再プレイの問題点は
第3回を参照してください。
次にスロットの定量性などの実施についてです。
6号機リリースが乏しく手探りの段階でしょうが、例えばAタイプなら大当り終了時点で600枚を超えてる場合は交換と言ったイメージです。
交換制で売上を伸ばす意図があります。
ファンを交換制に誘導し慣れてもらう為には常に出玉率100%超は必須条件と考えます。
売上、原価率差益、出玉率の良い塩梅については実行と修正を繰り返す中で、それぞれの地域事情や客層にマッチしたものを見つける必要があります。
▼いわゆる軍団との向き合い方
いわゆる軍団を排除しても別の軍団が登場することを分かった上で取り組むべきです。彼等の行為は大きな掛け持ち遊技であり、特定台の独占行為です。
「掛け持ち遊技はお断り」などのハウスルールを根気よく丁寧に説明した上で守らないお客様は丁重にお断りしましょう。
そのためには顧客管理に長けたスタッフ、経験豊富ないぶし銀のスタッフが必要です。平等な管理が出来るスタッフが根気よく説明する事、これはパチンコ業を続けるには必要不可欠です。
▼遊技台依存度を下げましょう。
パチンコ業界での名機の集客効果は日常の地道な取組の数倍の効果がありました。ですから「名機待望」まで行かないとしても「使える機械待ち」のホールがほとんどです。
しかし、それは遊技台動向次第で業績が左右されるビジネスとなり、自社の運命を他社に委ねる事と同じで高リスクです。使える機械に乏しい現在、高リスクである状況を脱却するチャンスでもあります。
前述の通り、【還元率などの情報公開】【臨機応変なスタッフの育成】は遊技機依存体質の改善に繋がります。
パチンコが装置産業である以上、ホールの遊技機依存は無くなりませんが依存度を下げる事はホールの努力次第で可能なのです。
広告宣伝もしかり、外部企画に過度に依存する事なく、ルールの隙間を突く小手先の取り組みでもない長期的・本質的視点に立った取り組みを進めたいものです。
以上
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