元店長が特に伝えたかったことは、一企業の努力では焼け石に水。全盛期から2000万人もの遊技人口を減らしてしまったパチンコ業界がすべきことは、川上→川中→川下までが一丸となって危機的状況を脱しなければならないということだ。
日遊協会長が「「いまの1000万人の遊技人口を、2000万人にしていかなければホールもメーカーも成り立たない。今年、来年は遊技人口を増やすことに集約してやっていく必要がある」が数値目標を表明したが、では、具体的に何を取り組むのか、というところまでの踏み込みはなかった。
一度失った信用を取り戻すには並大抵の努力では取り戻せない。10倍の努力と時間を要するとも言われている。1000万人を2000万人にするのは相当ハードルが高い数値目標だ。
「日遊協には設備業者も加盟しています。高い会費を払ってもらっても以上、設備業者にも希望が持てる意気込みを語る必要があった。特に設備業者の仕事は本当になくて困っています。誰も2000万人にできるなんて思っていませんよ。数字のことはそっとしておいて欲しい」(販社社長)
業界人は2000万人以上も遊技人口が減ったことをどう思っているのか?
パチンコメーカー営業マンが重い口を開いた。
「メーカーがどれだけいい機械を出してもオーナーは抜くことしか考えていない。いい機械が出ると未だに『ヨソには入れるな。次は言いなりに買ってやるから』と自分のところさえ良ければいい。競合店を痛めつけることしか考えていませんね。自分たちで遊技人口を増やすことなんかこれっぽっちも考えていませんよ。だから元店長の皆が団結しなければならないということが痛いほど分かります」
その集合体がパチンコ業界の各団体と言うことか。
ここで、パチンコ業界が少しでも共同でコトを始めるための、ちょっとしたヒントを紹介しよう。
それは吉野家ホールディングスとすかいらーくホールディングスが始めた「3社合同定期券」の発行だ。
合同定期券が使えるのは吉野家(国内1203店)と「はなまるうどん」(同472店)、ガスト(同1367店)の3店で、1日当たりの来店客数は3店合わせて約117万人に上る。
300円の合同定期券は8月27日から販売。これを各店で提示すると、吉野家では1食当たり80円引き、はなまるうどんではうどん1杯ごとに天ぷら1品(100~170円相当)が無料、ガストでは1回の会計につき100円引きとなる。使用期間は9月10日から10月21日までの6週間で、期間中は何回でも使用可能だ。
今回の取り組みからは外食企業が抱える危機感も垣間見える。働く女性の社会進出により、中食であるコンビニやスーパーの総菜に押され、外食市場は鈍化傾向が続いている。
外食産業同士が「競争から共創へ」というキャッチフレーズを掲げているように、中食に対抗するためには外食のライバル同士が手を組む時代になっている。
さぁ、パチンコ業界はこれをヒントにどう手を打つ!
メーカーの垣根を越えて互いの得意分野でシナジー効果を発揮できるようなことに取り組むしかない。

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