いよいよ新基準機が保通協に持ち込まれはじめた2月に入って、そんな声が聞こえてきた。最初は「またか」と思った。
2月に入るや全国各地で警察の検定みなし機の立ち入り指導がはいっている。兵庫県では認定を取っていなかったバジリスク絆をはじめとする9機種に指導が入り、即日台を止めさせられたホールもある。
「まさか、ここまで本気で認定を受けている機械かどうかを指導に入るとは思ってもいませんでした。2月1日を境に指導に入ったのでしょうが、うちは見せしめだった、と思います。これで警察の本気度が分かったはずですから」(当該ホール関係者)
こうして指導が厳しくなればなるほど一物二価が恋しくなる。
パチンコ業界を研究していた経済学部の准教授は「一物一価の徹底が業界を衰退させた」と結論付ける。
「一物一価の徹底で1パチも等価になってしまった。1パチが登場した当初の交換率は50~70銭だった。4円に比べて4倍貸し玉はある。加えてこの交換率だったので玉が減らないような本当の娯楽に戻ろうとしていた。現に1パチが登場してスリープユーザーが戻って来たりして、遊技人口が増えた。娯楽に戻したいのなら警察行政は一物二価を認めるべきだった。私には警察がどうして一物一価にこだわるのか理解できない」(准教授)
警察が一物一価に拘る理由をハンドルネーム「打算ですが」さんが次のように解説する。
「風適法施行規則第35条の2で「賞品の提供方法に関する基準」として「遊技球等の数量に対応する金額と等価の物品」を提供せよ、と定められています。
これが一物一価の原則の根拠です。
そして、一物一価の原則を守れと言う指導は、一物二価をホールが使用することにより、遊技の射幸性を『恣意的に上げることを防止』する趣旨です。
とすれば、国家公安委員会の指導により、市場価格の基準を一律で定めた上で二物二価を進める(低貸しの射幸性を一律で下げる)事により、通常貸しのメリットを相対的に高める事は、法改正無しに可能であってその議論がまだされていないだけだと思います」
かつて、地方にある地域一番店は一物一価を遵守することなく、一物四価を実践していた。
「スロットに合わせてパチンコを25交換なんかで営業することがそもそも間違っている。パチンコのベスト交換率は33個。30個も試してみたけど、最終的にパチンコは33個に落ち着いた。換金率に合わせて設定や釘調整を変えていけばお客さんは付く。そこがノウハウなので詳しいことは教えられないけど、一物四価だからお客さんが付いている。警察庁の指導通りに一物一価にしたら、今の稼働はない」と断言していた。
警察庁から一物一価の指導が入ったのは2011年だった。警察庁生活安全局の玉川課長補佐(当時)は「等価交換規制の遵守の徹底」の講話の中で一物一価が徹底されないことを受けて、最後にこう結んでいる。
「不適切な提供行為が一部において常態化し、そのような実態を半ば慣習的に受け止める業界文化が根強く存在し続けるようであれば、大衆娯楽としてのあるべき姿から大きくかい離することとなると考えておりますし、遵法営業者の間だけでなく遊技者の間にも不公平を生む結果となり、社会的信頼の喪失だけでなく、遊技客全体の減少にもつながるのではないでしょうか」
一物一価を徹底したことが遊技客全体の減少をもたらしたともいえないか。

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