2人は頑張ってそれぞれの業界で店長になった。共に店長時代の年収は兄が1100万円、弟は700万円だった。
弟は兄から事あるごとにバカにされた。
「消費者金融は頑張れば、頑張っただけ給料が貰える業界だ。取り立てはブラックだったが、高卒の女性社員でも2~3年目で年収は400万円は貰える。パチンコ業界はそんなに貰えるか?」(兄)
実際に店長の年収でも大きな差になっていた。
「パチンコ業界は負けた人で成り立っている。借金が膨らんで自己破産する人もいたが、パチンコ業界が大きくなったのは、オレらの業界がパチンコ客におカネを貸していたからだ。そういう意味ではオレらの業界の方が上だ」(兄)
弟の業界を見下していた兄だったが、ご存知の通り武富士は過払い金請求問題で2010年に会社更生を申請して受理された。これがきっかけで会社を退職した。
「業界一のウチの会社が潰れるとは誰も思っていなかった。消費者金融業界自体が、28%のグレー金利ゾーンを廃止に追い込まれるぐらいで、過去に遡って過払い金を払えなんて、最高裁判決が出るとは思ってもいなかった。会社が潰れたのは、すべては2兆円ともいわれた過払い金のせい」(兄)
見下していた弟の業界は生き残っているが、サラ金大手は全てがメガバンクの傘下に入った。
一方の弟も2年ほど前、エリア長を最後に退職している。
「3店方式に不安はあります。サラ金の過払い金のようにいつ最高裁判決が出るか分かりません。ウチは全国展開していたから、各都道府県の状況は把握しています。東京は金を使っているので、逃げられるかもしれませんが、逃げられないような危険を孕んでいる県が多すぎます。3店方式のトリガーを引いたのがカジノだと思います」(弟)
一昨年11月18日、民進党(当時)の緒方林太郎議員の「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する質問主意書」に対して、政府は「風営法の規制の範囲内ならパチンコは賭博罪にはあたらない」と画期的な判断を下した。
「だからといって楽観視しているのが一番怖い。それがまさに兄の会社ですよ。まさか過去に遡って過払い金を返すように命令が出るとは思ってもいなかったわけです。パチンコ業界だっていつ、何がどうなるかは分からない」(弟)
賭博であるカジノは特別法で認められることになるが、カジノと同じように換金ができる3店方式の存在を問題視する動きが出てきた時に、風営法を遵守していないケースが厳しく取り締まられることになる。

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